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更新日:2026/2/28
監修:浅井順
| 行政書士浅井事務所

各自治体から公表されている「集団指導」の資料には、「運営指導における主な指摘事項」が記載されていることがあります。この連載記事では、「主な指摘事項」をもとに、児童発達支援・放課後等デイサービスの運営指導対策のポイントを解説していきます。今回は第1弾のテーマとして「人員配置」について取り上げ、その対策のポイントをご紹介します。
【この記事のポイント】
法令遵守の重要性:児童発達支援・放課後等デイサービスの事業者は、適正な運営のために児童福祉法や指定基準などを遵守する必要があり、児童福祉法には事業者の責務が定められている。
人員欠如による減算:人員配置基準を満たさない場合、「サービス提供職員欠如減算」などの減算が適用される。
適正な人員配置のポイント: 勤務形態一覧表を活用し、予定表と実績表を毎月作成。これらは運営指導時に、基準を満たしたことの根拠資料として活用できる。
※本記事はすべての関連情報や各指定権者の解釈等を網羅するものではありません。記事の内容には万全を期しておりますが、実務においては必ずご自身でも指定権者および関係⾏政などの最新情報をご確認ください。運営指導とは、原則として行政の担当者が事業所を訪問し、「適正なサービスが提供されているか」などを面談形式で指導(調査)するものです。
児童発達支援・放課後等デイサービスでは、適切な運営のために児童福祉法や指定基準などを遵守する必要がありますが、まずは大前提として、その根拠となる法令を簡単に見ていきましょう。
大元となる児童福祉法には、指定障害児事業者の責務が定められており(第21条の5の18)、同条の第3項(下記)に違反したと認められる場合には、都道府県知事はその指定を取り消すことができると明記されています(第21条の5の24第3項)。
●児童福祉法第21条の5の18第3項(事業者の責務)
3 指定障害児通所支援事業者は、障害児の人格を尊重するとともに、この法律又はこの法律に基づく命令を遵守し、障害児及びその保護者のため忠実にその職務を遂行しなければならない。そして、人員・設備・運営の基準をまとめた指定基準は、上記第3項の規定に基づき定められています。ですので、事業者には指定基準や児童福祉法を遵守した運営を行う責任があり、その定期的な確認として運営指導があるのです。
(参照)
「児童福祉法」こども家庭庁・厚生労働省
「都の指導監査について」東京都福祉局、東京都障害者サービス情報
それでは、様々な自治体の集団指導の資料(※)を見ていきましょう。集団指導の資料には、「主な指摘事項」として事業所がよく行ってしまうミスや違反内容が例として挙げられていることがあります。
たとえば、「人員配置」に関する主な指摘事項には以下のようなものがあります。これらを見ると、様々な理由で人員配置基準を満たしていなかったり、人員欠如減算を算定していなかったことなどがわかります。
児童指導員や保育士が、基準どおり配置されていなかった
事業所をまたぐ兼務職員の勤務時間が明確に管理されていなかった
児童発達支援管理責任者が適切に配置されていなかった
児童発達支援管理責任者が不在になったにもかかわらず、人員欠如の減算を算定していなかった
児童発達支援・放課後等デイサービス事業所(主として重症心身障害児以外を通わせる事業所、定員10人)の場合で、児童指導員・保育士を2名配置していない日があった
職員の退職等により人員配置の変更があったにもかかわらず、変更届けを提出せずに変更前の人員配置で加算を請求していた
サービス管理責任者(児童発達支援管理責任者)に関して、勤務形態が常勤となっていなかった(勤務実態なし)
※集団指導の資料について:
運営指導の種類には、行政の担当者が事業所を訪問して指導する「運営指導」と、事業者を集めた講習やオンラインなどの形で行われる「集団指導」があります。自治体によっては、集団指導の資料を毎年ホームページで公表しているところがあります。
運営指導の流れやポイントをわかりやすく解説した資料も無料でプレゼント中ですので、ぜひお手元でご活用ください。
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(参照)
「障害福祉サービス事業者実地指導 主な指摘事項 〔児童発達支援・放課後等デイサービス〕」p.1、埼玉県川越市
「令和7年度 江東区障害福祉サービス事業者等集団指導 運営指導における主な指摘事項について(児童通所系)」p.5-6、東京都江東区
「令和7年度 障害福祉サービス事業者等 集団指導 資料 B」 p.16、埼玉県
それでは、上記をふまえて人員配置基準のポイントを見ていきましょう。
一般的な児発・放デイ(主に重症心身障害児を受け入れる事業所以外)の場合の人員配置基準は下表の通りです。
児童指導員または保育士 | サービス提供時間帯を通じて下記人数(※)を配置。1人以上は常勤 |
|---|---|
児童発達支援管理責任者(児発管) | 1人以上を配置(専任かつ常勤) |
管理者 | 1人を配置(原則として管理業務に専従) |
機能訓練担当職員 | 機能訓練を行う場合に配置 |
看護職員 | 医療的ケアを行う場合に配置 |
主に重症心身障害児を受け入れる事業所の場合、下記の従業者をそれぞれ1人以上配置します
嘱託医、看護職員、児童指導員または保育士、機能訓練担当職員(機能訓練を行わない時間帯には置かないことができる)、児童発達支援管理責任者
※児発・放デイの「人員配置基準」や「運営基準」のポイントをまとめた資料も無料でご提供中です。ぜひご覧ください。
●人員配置基準:⼈員配置基準完全ガイドをもらう【無料】
●運営基準:運営基準に関連する条⽂ガイドをもらう【無料】
(参照)
「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成 24 年3月 30 日障発 0330 第 12 号 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)【新旧対照表】」厚生労働省
人員配置基準を満たしていない場合、以下の減算も適用となります。それぞれの概要をご説明します。
児童指導員または保育士の数が人員配置基準より欠如した場合、「サービス提供職員欠如減算」が適用されます。不足している人数や期間によって、基本報酬の30%または50%が減算になります。詳しくは、下記の記事を参照ください。
「放デイ・児発」におけるサービス提供職員欠如減算とは?【令和6年度版】
児童発達支援管理責任者が人員配置基準どおりに配置されていない場合、「児童発達支援管理責任者欠如減算」が適用されます。欠如となった期間によって、基本報酬の30%または50%が減算になります。詳しくは、下記の記事を参照ください。
「放デイ・児発」における児童発達支援管理責任者欠如減算とは?
児童発達管理責任者により個別支援計画が作成されていない、または適切に作成されていない場合には「個別支援計画未作成減算」が適用となります。適用される期間によって、基本報酬の30%または50%が減算になります。詳しくは、下記の記事を参照ください。
「放デイ・児発」における個別支援計画未作成減算とは? 基準から運営指導での主な指摘事項まで解説【令和6年度版】
なお、「児童発達支援管理責任者欠如減算」と「個別支援計画未作成減算」が適用される場合、二重に減算されることはなく、減算となる単位数が大きいほうが減算適用となります。
(参照)
「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」厚生労働省、p.19
※報酬のしくみと「経営に必要な基礎知識」や「利⽤者充⾜のポイント」をまとめた資料も無料でご用意しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。
(執筆:行政書士・浅井順先生)
最後に、適切な人員配置を行うための重要なポイントをご紹介します。
お勧めの方法は、指定権者が発行している「勤務形態一覧表(Excel)」を使って、「勤務予定表」と「勤務実績表」を毎月作成することです。
多くの指定権者が出している勤務形態一覧表は、自動計算で常勤換算数を算出してくれるため、必要な人員基準を満たしているのかが一目でわかります。
この勤務形態一覧表を用いて月初に「勤務予定表」を作成し、勤務実績が出た月末に別途「勤務実績表」にも入力することで、毎月の人員配置が適切に行えているかを確認することができます。
さらに、作成した勤務予定表と勤務実績表は、運営指導が入った際に基準を満たしたことの根拠資料にすることもできます。
多くの指定権者では、運営指導の際に直近3か月(※浅井先生:私の場合は3か月が多いかと思います)の勤務形態一覧表の提示が求められ、それを見ながら人員配置ができているかの確認が行われます。したがって、勤務予定表と勤務実績表を作成しておけば、運営指導が入る際に新たに資料を用意する必要がありません。
続いて、勤務形態一覧表の作成方法を見ていきましょう。今回は、東京都の障害児通所支援事業における勤務形態一覧表を使って、説明をしていきたいと思います。実際の勤務形態一覧表については、下記東京都のHPなどよりダウンロードしてご確認ください。
「勤務形態一覧表」東京都福祉局
■東京都の勤務形態一覧表(記載例)
※出典:「勤務形態一覧表」東京都福祉局、東京都障害者サービス情報
大まかな記載方法の流れは下記の通りです(表の左欄より右欄への流れ)。
①「職種」の欄には、人員配置基準の対象となる職種(児童指導員、保育士など)を入力します。
②「勤務形態」の欄には、常勤か非常勤か、専従か兼務かを入力します。兼務の場合、他の職種の勤務実態に即して就業時間を按分して記載します。
③「資格証の提出有無」の欄には、指定権者に資格証の提出が済んでいるかを入力し、提出が済んでいない職員がいる場合には、体制届等の提出のタイミングで資格証を提出するようにしましょう。
④「基準・加配職員」の欄には、人員配置基準上で必要な職員については「基準」と入力し、基準を満たしたうえで加配加算を算定する職員については「加配」と入力します。
⑤「加算を取得する(している)場合、選択してください」の欄には、各種加算の欄に資格名や実務経験年数などを入力します。以下に該当するものを記載します。
※福祉専門職員配置等加算の対象者、児童指導員等加配加算の対象者、専門的支援体制加算の対象者、強度行動障害支援者養成研修修了者
⑥「各営業日」の欄には、職員ごとの労働時間を入力し、下のほうにある「営業時間」と「サービス提供時間」の欄には、事業所として定めた各日の営業時間、サービス提供時間を入力します。
⑦ ⑥の上にある「1週間に当該事業所・施設における常勤職員の勤務すべき時間数」の欄には、就業規則で定めた時間を入力します。1日8時間、週5日の労働時間の事業所であれば40時間と入力します。仮に1週間の時間が32時間を下回った場合でも、32時間未満の記載はできません。
⑧上記までを入力すると、「4週の合計」や「週平均の勤務時間」「常勤換算後の人数」の欄が自動計算で算出されます。
⑨入力後、人員配置基準や取得したい加算ごとの要件を満たせているかを確認します(詳細は、実際の勤務形態一覧表の記載例をご確認ください)。
(定員10名、重心外の場合)
基準となる児童指導員または保育士の常勤が1名以上いて、営業時間に対して児童指導員または保育士を毎日2名以上配置している場合(記載例の〇部分)→基準の配置OK
基準の配置に加え、児童指導員等が常勤専従または常勤換算で1名以上配置している場合(記載例の△が週40時間以上の場合)→児童指導員等加配加算(常勤換算・経験5年未満または5年以上)を取得可
さらに、理学療法士等を常勤換算で1名以上配置している場合(記載例の□が週40時間以上の場合)→専門的支援体制加算を取得可
※勤務形態一覧表とは別に、客観的な記録として「タイムカード」または「出勤簿」も作成し、出退勤時刻がわかる記録を残すようにします
勤務形態一覧表を作成すると、人員配置基準以外にも、たとえば以下のような間違いに気づくことができます。
常勤職員としてカウントしていたが、実際は非常勤職員であった
加算要件の職員の退職等に気づいた
たとえば、福祉専門職配置等加算を取得していた場合に、常勤・非常勤の相違があったり、資格対象者が退職していた等で、加算要件を満たしていなかったのに引き続き加算を取得していたというケースがあります。
その場合には、福祉専門職配置等加算だけでなく、福祉・介護職員等処遇改善加算もⅠからⅡに区分変更が必要ですが、変更していなかった場合も考えられます。このような場合には、さかのぼって過誤申請や返戻が必要になります。
上記のように、勤務形態一覧表を毎月作成することで、人員配置基準の確認だけでなく、取得している加算に問題がないか、また取得していない加算で取得できる加算があることに気付けるなど多くのメリットがありますので、ぜひ作成をするようにしましょう。
(参照)
「勤務形態一覧表」東京都福祉局、東京都障害者サービス情報
※適正な運営のためには、人員配置の管理とともに、加配加算を維持し、スタッフの育成体制なども整えることが重要です。 実務に役立つ資料を無料でご提供していますので、ぜひご活用ください。
以上、「人員配置」に関する運営指導対策のポイントを見てきました。
運営指導は、「サービスの質の確保」や「給付費の適正化」の観点から様々な調査が行われ、事業所には適正な運営が求められます。事業所運営をサポートする一助として、LITALICOには「研修教材サービス」や「施設運営ソフト(請求ソフト)」があります。
研修教材サービスでは、①運営知識や法定研修の解説動画、②支援に関する研修動画などをご用意しています。
スタッフを対象とした運営に関する解説動画では、請求業務や加算のポイント、衛生管理などの基礎知識を学習できます。
また、虐待防止研修などの法定研修の解説動画も視聴可能です。具体的には以下のテーマをご用意しており、それぞれ研修動画、研修計画書などの各種様式、参加者用のアンケートがセットになっています。
虐待防止・身体拘束等の適正化
防災計画・消防計画・自然災害BCP
感染症対策・感染症BCP
スタッフに向けた支援の研修動画は1本当たり約2〜10分で、「困った行動への関わり方」など実際の支援場面などの事例をもとに支援の基本や具体的な手立てを段階的に学べます。全員が同じ内容を受講できるため、スタッフの療育スキルの向上に寄与します。
上記のほか、家族支援に活用できる解説動画もご用意しています。ご興味のある方は、ぜひ以下よりお問い合わせください。
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上記以外にも、請求ソフトは支援実績を記録する際、「取りたい加算を選択すると自動で算定の必須項目」が表示されるため、記入漏れなどが発生しにくく、どの項目が必須なのかを確認する手間も省けます。カスタマーサポート体制も充実し、操作性も優れているため、請求業務をミスなくスムーズに進めることに役立ちます。
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相談援助とアセスメント:相談援助とアセスメントの基本とコツとは?
ペアトレ×個別編:児発・放デイのための「ペアトレ」入門【個別編】
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監修:浅井順
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