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更新日:2026/3/10

児発・放デイのための「安全計画」の基本と策定の仕方 ―義務化の内容やポイントを解説

監修:古山 紀子

| 行政書士未来法務事務所

児童発達支援や放課後等デイサービスで義務化された「安全計画」。どう策定すればよいか迷っていませんか? この記事では、安全計画の策定のポイントや盛り込むべき内容を丁寧に解説します。公表されている「記載例」や「チェックリスト」も紹介しますので、ぜひ実務にお役立てください。

  • 【この記事のポイント】

    • 安全計画の義務化:児童発達支援や放課後等デイサービスでは、令和6年度より策定が義務化。未策定の場合は指定基準違反となるため注意が必要。

    • 安全計画の内容:「安全点検」「児童・保護者への安全指導」「実践的な訓練や研修」「再発防止策」に関する具体的な取り組みと実施時期を盛り込む。

    • 運用の留意点:「誰が、何をするか」の役割分担の明確化や、散歩などの事業所外活動における児童の所在確認などに留意する。

    目次

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    1.児発・放デイの安全計画とは?【令和6年度義務化】

    児童発達支援・放課後等デイサービスにおける「安全計画」とは、児童の安全を確保するための取り組みを計画的に実施するための計画(年間スケジュール)を指します。
    令和5年度(2023年度)から1年間は策定が努力義務とされ、令和6年度(2024年度)からは義務化されました。安全計画を策定していない場合、指定基準(第40条の2)違反となるので注意しましょう。

    安全計画と安全確保に関する取り組みとの関係

    安全計画は、単に書類(計画)を作成すれば終わりではありません。計画に基づき、「安全確保に関する取り組み」を実施し、その結果を振り返って改善につなげるPDCAサイクルを回すことが求められます。特に各年度の開始前に計画を策定し、定期的に見直すことが必要です。

    (参照)

    2.安全計画に盛り込むべき4つの内容

    こども家庭庁の資料によると、安全計画には主に以下の4つの観点に関する具体的な取り組みと実施時期を記載する必要があります。資料には、以下のようなものが考えられるとして例示されています。

    ①安全点検について

    事業所の設備等の点検や、リスクが高い場面などにおける役割分担等を明確にしたマニュアルの策定・共有などを行います。資料では、「少なくとも毎学期1回以上の頻度(年3回をめど)」で定期的に、文書として記録したうえで改善すべき点を改善することとされています。

    • 事業所設備等(備品・遊具、防火設備、避難経路など)の安全点検を行うこと

    • 散歩コースや公園など、事業所外の定期的に利用する場所の安全点検を行うこと

    • 通常の支援の場面、リスクが高い場面(午睡、食事、プール・水遊び等)、緊急対応が必要な場面(災害、不審者の侵入、火事等)における役割分担や留意点を明確にしたマニュアルを策定・共有すること など

    ②児童・保護者への安全指導等

    児童に対する安全対策の周知や、保護者に対する説明や共有を行います。

    • 児童に対して、安全対策(事業所等の生活における安全、災害や事故発生時の対応、交通安全等)を周知すること

    • 保護者に対して、安全計画や安全に関する取組みの内容を説明・共有し、家庭で安全を学ぶ機会の設定を依頼すること など

    ③実践的な訓練や研修の実施

    職員が緊急時に適切な対応ができるよう、定期的な研修や訓練を実施します。これらは常勤・非常勤にかかわらず、全職員が受講することが重要です。

    • 災害を想定した避難訓練を行うこと(地震・火災・水害など地域特性に応じて)

    • 救急対応の実技講習を定期的に受け、事業所内でも訓練を行うこと(心肺蘇生法、AED、エピペン®の使用法など)

    • 不審者侵入を想定した訓練や送迎時の安全等に関する訓練を行うこと など

    ④再発防止の徹底

    事故やヒヤリハットが発生した場合に、その原因を分析し、再発防止策を講じる体制を整えます。

    • ヒヤリ・ハット事例の収集・分析を行い、必要な対策を講じること

    • 事故発生時に原因などを検討し、点検実施箇所やマニュアルに反映したうえで、職員間で共有すること

    ※参照

    3.安全確保に関する取り組みはいつすべきか?

    安全計画では、それぞれの取り組みについて「いつ、何をすべきか」を整理し、年間スケジュールを定める必要があります。資料の「実施時期の例」などに基づくと、実施時期の目安は以下のように整理できると言えます。

    • 毎日実施するもの:送迎車両の乗降確認、日常的な環境整備、整理整頓など

    • 定期的に実施するもの:施設・設備の詳細な安全点検、避難訓練、救命講習など

    • 年1回以上実施するもの:安全計画の策定・見直し、保護者への説明など

    • 随時実施するもの:採用時の職員研修、ヒヤリ・ハット発生時の分析・対策、季節に応じた感染症対策など

    事業所の実情に合わせて、実行可能な年間スケジュール(安全計画)を策定しましょう。

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    (参照)

    4.安全確保に関する取り組みの留意点

    安全確保に関する取り組みを実行するにあたっては、以下の点に留意する必要があるとされています。安全計画を作るだけでなく、実効性のある運用ができているかを確認しましょう。

    「誰が、何をするか」の役割分担の明確化

    リスクが高い場面(午睡、食事、プール・水遊び、事業所外活動、送迎など)や、緊急対応が必要な場面(災害、不審者侵入など)において、職員の「役割分担」などが不十分である場合、速やかにマニュアルを見直す必要があります。 

    「障害児支援の安全管理に関するガイドライン」では、事故の発生防止は組織で対応することが重要であり、事業所等の長等によるリーダーシップの下、組織的に対応できる体制(安全管理委員会や責任者等)を整備することが望ましいとされています。

    事業所外活動(散歩など)での所在確認

    散歩や公園遊びなどの「事業所外活動」では、開放的な空間であるため児童を見失うリスクが高まります。常に児童の行動把握に努め、職員間の役割分担を確認し、見失うことなどがないよう留意しましょう。 この際、「保育所等での児童の見落とし等の発生防止」に関する以下の資料が参考になるので参照することとされています。

    地域特性に応じた多様な災害対策

    災害対策は、地震や火災などだけでなく、その地域の実情に応じた災害(土砂災害、津波、火山活動など)を想定して行うこととされています。ハザードマップを確認し、自事業所に必要な対策を計画に盛り込みましょう。

    車両送迎の安全管理(支援提供時間外も含む)

    車両による送迎を実施している場合、それが支援提供時間外(サービス提供前後の移動)であっても、事業所が責任をもって安全管理を行う必要があります。令和5年度より義務化された「降車時等の点呼等」や「送迎用車両への安全装置の装備」はもちろんのこと、「こどものバス送迎・安全徹底マニュアル」を活用し、車両送迎の安全管理を徹底する必要があります。

    ※参照

    5.【記載例あり】安全管理ガイドラインの活用法

    令和6年7月にこども家庭庁より示された「障害児支援の安全管理に関するガイドライン」(「障害児支援における安全管理について」P.10~)には、安全計画の記載例(ガイドラインのP.37~)がありますので、これらを活用しながら作成しましょう。

    安全計画の記載例

    「安全点検」「マニュアルの策定・共有」「児童・保護者に対する安全指導等」「訓練・研修」の項目ごとに、具体的な月別のスケジュール例が掲載されています。下記はガイドラインの記載例を一部抜粋・加工したものですので、事業所の実情に合わせて作成してください。

    ■安全計画の例(抜粋)

    時期

    安全点検(設備・環境)

    児童・保護者への指導・共有

    訓練・研修

    4月

    ・避難経路の点検
    ・緊急連絡表の作成
    ・園舎破損箇所の点検

    ・遊具遊びや散歩時の事故防止指導
    ・保護者へのおたよりで周知

    ・避難訓練(火災)
    ・人数確認ルールの研修

    5月

    ・遊具の点検
    ・園庭の鍵の点検

    ・下校時の歩き方・信号の見方の指導
    ・保護者へのおたよりで周知

    ・避難訓練(火災)
    ・不審者対応訓練

    6月

    ・プール・プール周りの柵の点検
    ・園庭備品の点検

    ・遊具遊びや散歩時の事故防止指導
    ・保護者へのおたよりで周知

    ・避難訓練(火災)
    ・送迎時の安全訓練

    7月

    ・園庭全体の点検
    ・防火設備の点検

    ・熱中症対策の指導
    ・保護者との面談

    ・避難訓練(火災)
    ・熱中症対策
    ・水遊び対策

    ※ 「障害児支援における安全管理について」こども家庭庁をもとに一部抜粋して作成

    安全管理のチェックリスト

    「遊具や周りの安全を確認しているか」「高いところに物を置かないようにしているか」など、具体的な点検項目の例がリスト化されています。こちらをベースに事業所用のチェックリストを作成しましょう。

    ■安全管理のチェックリストの例(抜粋)

    分類

    チェック項目

    チェック

    環境

    □ 高いところに物を置かないようにしているか

    □

    □ 転落予防のため、窓の下に物を置いていないか

    □

    □ 出入口をふさがないように気をつけているか

    □

    □ 口の中に入ってしまう小さなおもちゃを手の届くところに置かないように注意しているか

    □

    衛生

    □ 水分補給時や食事の前には机を消毒しているか

    □

    □ 下痢や嘔吐用のバケツを用意し、使ったら補充しているか

    □

    見守り

    □ 支援者は子どもの行動を確認できる状態でいるか

    □

    □ ドアを開閉するときは、子どもの手足の位置を確認しているか

    □

    □ 場所を移動するときは必ず人数確認をしているか

    □

    ※「障害児支援における安全管理について」こども家庭庁をもとに一部抜粋して作成

    児発・放デイにおける「安全計画」は、利用児童の命と安全を守るための基盤となるものです。 作成にあたっては、こども家庭庁のガイドラインに掲載されている「記載例」や「チェックリスト」を積極的に活用し、事業所の実態に即した実効性のある計画を策定・運用しましょう。

    6.研修の負担を減らすには?

    以上、安全計画の策定のポイントや盛り込むべき内容などについて見てきました。
    児発・放デイでは、安全計画以外にも、業務継続計画(BCP)の策定などが義務づけられており、ミスや漏れなく実施する必要があります。

    LITALICO発達ナビのサービスには、BCPや防災対応などに関する研修動画をまとめた「研修教材サービス」があり、経営者様の負担を抑えながらスタッフの業務知識を深めることができます。

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  • 監修:古山 紀子

    行政書士未来法務事務所

    障がい福祉サービス事業を専門に、事業所の立ち上げからその後の運営までサポートを行っている。
    「福祉の現場の方々にも分かりやすく」をモットーに、専門知識をわかりやすく提供し、事業運営における課題解決を支援する。

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