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更新日:2023/9/12

ペアレントトレーニング(ペアトレ)は、子どもの問題行動を改善し、親子関係を強化するための実践的な手法として注目されています。
本記事では、ペアレントトレーニングの基本的な内容から、期待できる効果、具体的な例などを詳しく解説していきます。
【この記事のポイント】
ペアレントトレーニングの概要:保護者が対応スキルや知識を学び、発達障害のある子どもの行動変容と親子関係の強化を図るプログラム。
実施の基本原則:実施の土台である基本プラットフォームには、①コアエレメント、②運営の原則、③実施者の専門性の要素がある。
実施者の専門性:資格は不要だが、養成研修の受講や専門的なスキルなどが必要。
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ペアレントトレーニングは、保護者が子どもの行動に対し適切に対応するためのスキルや知識を習得することで、発達障害のある子どもの行動変容を促すプログラムです。1960年代から米国で発展してきた歴史があります。
2016年の発達障害支援法の改正もあり、ここ数年は発達障害のある子どもだけでなく、発達障害の疑いがある子どもとその保護者も対象となっています。
ペアレントトレーニングは、保護者のスキルの向上による子どもの問題行動の改善に加え、保護者の養育に対する不安感や育児ストレスの緩和など親子双方への効果が期待できます。
保護者は、効果的な褒め方や指示の仕方を学ぶことができるため、日常の育児がより進めやすくなり、子どもとの関わりが深まります。
適切な育児方法を学ぶことで、保護者の育児に対するストレスや不安が軽減されます。保護者の自信回復など精神面への効果も期待できます。
トレーニング中には、同じ境遇の保護者や子どもとの交流の機会が増えます。交流によって保護者は安心感を得ることができたり、他の保護者との共感を共有することができます。
ペアレントトレーニングを通じて、子どもへの理解が深まり、行動の背景にある「なぜ?」が明確になることで、保護者のイライラや不安の軽減が期待できます。その結果、これまでと比べて、落ち着いた気持ちで子どもに接することができるようになります。
子どもの問題行動は、ペアレントトレーニングを通じた具体的な指導やアドバイスにより、効果的に改善されることが期待できます。
トレーニングにより親子間の信頼関係や親密度が高まり、家庭内において良好な関係が築きやすくなります。
保護者の適切な指導により子どもの良い行動が増え、問題行動の発生が減少します。また、良い行動に対して褒めることで、子ども自身の自己肯定感を高める効果もあります。
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ペアレントトレーニングにはさまざまなプログラムがあり、構成もそれぞれ異なりますが、基本的に講義形式だけではなく、ロールプレイや演習を通して知識の獲得を目指していきます。中でも、学術的な検証の結果、効果が一定認められているペアレントトレーニングとして下記の方式があります。
精研式・奈良方式
肥前方式
鳥取大学式
それぞれの構成について図でまとめました。

上記のプログラムは、それぞれの特徴や目的に応じて選択されることが多いです。参加者の目的に合わせて最適なペアレントトレーニングを提供できるよう、これらのプログラムについては、事前にしっかりと調べておくことが大切です。
ペアレントトレーニングの実施において、2019年の厚生労働省の障害者総合福祉推進事業で明示された、「基本プラットフォーム」というものがあります。基本プラットフォームとは、上述の方式に関わらず、ペアレントトレーニングの実施にあたっての共通の土台のようなものであり、下記の3つの要素から成り立っています。
①コアエレメント
②運営の原則
③実施者の専門性
それぞれについて詳しくみていきましょう。
ペアレントトレーニングには多くの種類がありますが、共通して大切な6つの要素が存在し、それらを「コアエレメント」と呼びます。コアエレメントは、ペアレントトレーニングに参加する保護者が何を学ぶのか、ペアレントトレーニングで何を教えるのかを示したものです。
■子どもの良い点を見つけて褒めること
■行動の理解(ABC分析)
■環境の整え方(行動を起こす前の工夫)
■子どもの不適切な行動への対処法
■子どもが達成しやすい指示の出し方
■子どもの行動の3つのカテゴリ分け
ペアレントトレーニングの実施の際の基本的な運営方法や推奨される実施形態を示したものです。以下は、運営の原則の具体的な内容です。
■実施形態
ペアレントトレーニングは、参加者同士の情報交換や相互のサポートが期待されることから、個別実施よりもグループでの実施が推奨されています。
■セッションの頻度と時間
トレーニングは全5回以上を目安とし、おおむね隔週で1回のセッションを行うことが推奨されています。1回のセッションの所要時間は、90~120分程度とされています。
■参加者の人数
トレーニングの効果を最大化するため、1グループあたりの参加者の人数は4、5人から7、8人が理想的とされています。参加者をある程度集めておくことで、欠席者がでた場合でもグループとしての活動が成立し、運営がスムーズに行われやすくなります。
これらの原則にしたがって、ペアレントトレーニングの運営が行われることで、参加者が学びやすくなり、スキルを習得するための環境が整備されます。
ペアレントトレーニングを実施する際のトレーナー、すなわち実施者が持つべき専門的なスキルや能力を指します。以下は、実施者に求められる専門性の具体的な内容です。
■コアエレメントの理解
ペアレントトレーニングの基本的な要素であるコアエレメントの内容を深く理解し、保護者に対して助言や指導ができる能力。
■適切な関わり方の提案
保護者のこれまでの子どもとの関わり方を否定せず、子どもに適した関わり方を提案する能力。
■フィードバックの提供
子どもの成長や保護者の養育スキルの獲得を小さなことから発見し、それに対して的確なフィードバックを提供する能力。
■養成研修の受講と研鑽
子どもの発達支援に関わる方々に向けた養成研修の受講と、それに基づく継続的な学びや研鑽。
■進行管理やサポートの能力
ファシリテーターとしての役割を果たし、セッションの進行管理や参加者のサポートを行う能力。
■観察と記録
サブファシリテーターとしての役割を果たし、参加者の様子や変化を観察し、それを記録する能力。
■コミュニケーションと調整のスキル
プログラムを参加者のニーズに応じて運営するためのコミュニケーションと調整のスキル。
■スタッフ間の連携
スタッフ間でのセッション前後のミーティングを通じて、プログラムの運営を行う能力。
これらの専門性を持つ実施者がペアレント・トレーニングを担当することで、参加する保護者に最大限のサポートと学びの機会が提供されることが期待できます。
ペアレントトレーニングの実施者に、特別な資格は必要ありませんが、誰でも実施できるというわけではありません。先述した基本プラットフォームの一つである「③実施者の専門性」のとおり、ペアレントトレーニングの実施者には相応の専門性やスキルが必要になります。
これらの知識は、ペアレントトレーニングの養成研修を受けることで身につけることも可能です。また、子どもの発達支援に携わっている方であれば、正しい知識と専門性を身につけ、経験を積むことでペアレントトレーニングを実施することが可能となります。
ペアレントトレーニングの研修を実施している機関や施設には下記のようなものがあります。
■病院や医療機関
■大学の心理センター
■各地の親の会や支援団体が運営するNPO法人
■民間の事業所や個人開業者
ただし、研修の実施の有無や内容の詳細は、機関や施設によって異なるため、お住まいの地域や希望する研修内容などに応じてお問い合わせください。
以上、ペアレントトレーニングの概要から効果、種類、相談先に関する説明をしてきました。ペアレントトレーニングの実施者においては資格は必要ではありませんが、高い専門性とスキルが必要とされるため、必要に応じて研修の受講も検討してみると良いでしょう。
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