更新日:2024/7/22

令和6年度報酬改定|放デイ・児発の「福祉・介護職員等処遇改善加算」の仕組みや経過措置とは?

「福祉・介護職員等処遇改善加算」は、障害福祉サービス等に従事する福祉・介護職員の賃金改善に充てることを目的に平成24年に創設され、全国の放課後等デイサービスのうち90.5%(令和4年12月実績、国保連データ)が算定しています。本記事では、令和6年度以降の福祉・介護職員等処遇改善加算の仕組みや経過措置、令和6年度中の取組みの例についてご説明します。

  • 「令和8年度の処遇改善加算」の変更点をまとめた記事はこちら

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    ※本記事はすべての関連情報や各指定権者の解釈等を網羅するものではありません。記事の内容には万全を期しておりますが、実務においては必ずご自身でも指定権者および関係⾏政などの最新情報をご確認ください。
    目次

    1.令和6年度改定の考え方

    福祉・介護職員等処遇改善加算の内容は、事業所が従業者の賃金面等の待遇改善を目的とした取組みを実施していることを評価するものです。

    令和6年度からは、従来の3つの加算(福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算、福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算)が一本化され、加算率のさらなる引き上げと配分方法に工夫が加えられました。この一本化は、下記の観点により行われました。

    • 事業者の賃金改善や申請に係る事務負担を軽減する

    • 利用者にとってわかりやすい制度とし、利用者負担の理解を得やすくする

    • 事業所全体として、柔軟な事業運営を可能とする

    ※参照
    「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」厚生労働省

    事業者の皆様にとっては、さらに取得しやすい加算になったと言えそうです。加えて、加算率の引き上げにより、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップが可能となります。

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    2.令和6年度以降の新加算の仕組み

    令和6年度以降の児童発達支援・放課後等デイサービスの加算率は以下の通りです。

    ■加算率

    児童発達支援・放課後等デイサービスの福祉・介護職員等処遇改善加算の加算率

    ※参照
    「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定での見直しの概要・令和6年度の申請様式等 制度概要・全体説明資料」厚生労働省

    上表の通り、福祉・介護職員等処遇改善加算にはⅠ~Ⅳの区分(※)があり、定められた要件に応じて区分を選択します。

    ※令和6年度中は、経過措置として福祉・介護職員等処遇改善加算Vも設定されています

    区分ごとの算定要件は?

    福祉・介護職員等処遇改善加算Ⅰ〜Ⅳの算定要件は以下の通りです。算定要件は大きく分けて、①月額賃金改善要件、②キャリアパス要件、③職場環境等要件の3つがあります。それぞれを見ていきましょう。

    ※参照
    「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定での見直しの概要・令和6年度の申請様式等 事業者向けリーフレット」厚生労働省を基に作成

    福祉・介護職員等処遇改善加算Ⅰ〜Ⅳの算定要件
    福祉・介護職員等処遇改善加算の要件と対応する従来の加算

    新加算は従来の3加算が一本化されたものであるため、算定要件は従来の加算要件を組み合わせた内容となっています。
    また、令和6年6月以前に処遇改善加算を算定しており、かつ、ベースアップ等支援加算を算定していない事業所が新加算Ⅰ~Ⅳを新たに取得する場合には、ベースアップ等支援加算相当分の加算額については、その2/3以上を月額賃金の改善として新たに配分することも要件の1つとされています(月額賃金改善要件Ⅱ)。

    経過措置の内容について

    新加算の施行は令和6年6月1日ですが、賃金規程等の見直しに係る事業者の事務軽減の観点から、令和6年度中には様々な経過措置が設けられています。経過措置は下記の通り大きく3つあり、それぞれの内容についてご説明します。

    ※参照

    ①月額賃金要件Ⅰの猶予

    新加算Ⅳの算定要件の1つに、「新加算Ⅳ相当の加算額の1/2以上を月給(基本給又は決まって毎月支払われる手当)の改善に充てること」とする月額賃金要件Ⅰがあります。この要件は令和6年度中の適用は猶予され、令和7年度から適用されます。新加算Ⅳの要件であるため、新加算Ⅰ~Ⅳを算定するすべての事業所に関わってきます。

    ②キャリアパス要件Ⅰ~Ⅳの特例

    キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲについては、令和6年度中に対応することを誓約した場合、令和6年度当初から各々の要件を満たしたことにできます。

    また、キャリアパス要件Ⅳの内容は「経験・技能のある障害福祉人材のうち、1人以上は賃金改善後の賃金見込み額が年440万円以上であること」ですが、令和6年度中は、改善後の賃金見込み額が年440万円以上の職員の代わりに、新加算の加算額のうち特定処遇改善加算に相当する部分による賃金改善額が月額平均8万円(賃金改善実施期間における平均とする)以上の職員を置く場合でも要件を満たしたことになります。 

    ③職場環境等要件の内容継続

    職場環境等要件は従来の3加算の要件内容が継続され、項目及び要件の変更は令和7年度から適用されます。具体的には以下の通りです。

    【令和6年度:従来の加算要件を引き継ぐ形で実施】
    • 新加算Ⅲ・Ⅳを算定する場合:6つの区分のなかから1つ以上取り組む

    • 新加算Ⅰ・Ⅱを算定する場合:6つの区分のなかから3つを選択し、それぞれで1つ以上取り組む

    【令和7年度以降:職場環境等要件の項目が一部変更され、新加算の算定要件も変更あり】
    • 新加算Ⅲ・Ⅳを算定する場合:6つの区分ごとにそれぞれ1つ以上(生産性向上は2つ以上)取り組む

    • 新加算Ⅰ・Ⅱを算定する場合:6つの区分ごとにそれぞれ2つ以上(生産性向上は3つ以上、うち⑱「現場の課題の見える化の実施」は必須)取り組む

    新加算は柔軟な配分も認められている

    福祉・介護職員等処遇改善加算は、福祉・介護職員への配分が基本であり、特に技能のある職員に重点的に配分することとされていますが、一方で福祉・介護職員以外の職種を含め、事業所内での柔軟な配分(※)も認められています。

    ※一部の職員に賃金改善を集中させることや、一部の事業所のみに賃金改善を集中させることなど、職務の内容や勤務の実態に見合わない著しく偏った配分は行わないこととされています

    3.経過措置を踏まえた令和6年度中の取組みの例

    上記の経過措置を踏まえ、新加算等のキャリアパス要件Ⅰ~Ⅳを満たすためには、令和6年度中にキャリアパスや賃金規程を整備する必要があります。
    下表はキャリアパス・賃金規程の一例ですが、従業員10名以上の事業所は、別途、就業規則の整備が必要です。

    ※参照
    「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定での見直しの概要・令和6年度の申請様式等 別紙様式7(加算未算定事業所用・計画書・実績報告書)」厚生労働省を基に作成

    キャリアパス・賃金規程の例

    4.その他の押さえておきたいポイント

    最後に、これまで説明してきたこと以外で押さえておきたいポイントについてご紹介します。

    ※参照
    「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A(第2版)の送付について」厚生労働省

    毎月支払われる手当の範囲について

    前述の通り、月額賃金要件Ⅰでは、新加算Ⅳ相当の加算額の1/2以上を月給(基本給又は決まって毎月支払われる手当)の改善に充てるとされています。
    この「毎月支払われる手当」とは、決まって毎月支払われるのであれば、月ごとに額が変動するような手当も含みます。また、手当の名称は「処遇改善手当」などに限る必要はなく、職能手当、資格手当、役職手当、地域手当などの名称であっても差し支えないとされています。

    時給や日給の扱いについて

    時給制の職員の時給を引き上げることや、基本給が日給制の職員の日給を引き上げることも新加算の算定にあたり、基本給の引き上げとして取り扱うことが可能です。

    賃金改善額に含まれる法定福利費の範囲について

    賃金改善額には、法定福利費(※)における新加算による賃金改善分に応じて増加した事業主負担分も含むことができます。

    ※健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、児童手当拠出金、雇用保険料、労災保険料など

    5.抜けや漏れなく加算を算定するには?

    以上、福祉・介護職員等処遇改善加算の仕組みや経過措置などについて見てきました。福祉・介護職員等処遇改善加算には様々な算定要件がありますが、算定の際には抜けや漏れなく進める必要があります。そのような際に役立つのが、請求情報を正しく作成し、業務を効率化できる請求ソフトです。

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  • 監修:新宅俊平

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