050-3196-1304
(平日10:00〜17:00)
更新日:
著者:水口直人
/放課後等デイサービスみなみさや管理者

児発・放デイの新人管理者の中には、「サービス提供職員欠如減算」に対して不安を抱く方も多いでしょう。この記事では、本減算にならないために知っておきたい「人員配置基準の正しい理解」と「スタッフへの伝え方のポイント」を、現役放デイ管理者の水口直人先生に解説していただきました。
※本記事はすべての関連情報や各指定権者の解釈等を網羅するものではありません。記事の内容には万全を期しておりますが、実務においては必ずご自身でも指定権者および関係⾏政などの最新情報をご確認ください。※「報酬のしくみと経営に必要な基礎知識」をまとめた資料を無料で提供しています。ぜひご活用ください。

児童発達支援や放課後等デイサービスの管理者にとって、数ある減算の中でも特に緊張感を覚えるのが、「サービス提供職員欠如減算」ではないでしょうか。
「急にスタッフが辞めてしまったらどうなるのだろう」と感じたことのある管理者は、決して少なくないはずです。
私は10年以上現場に携わり、ベテラン管理者として、同じ会社の別事業所の新人管理者と多く関わってきました。「人員配置に関する不安」を聞く中で見えてきたのは、この減算が生じる背景には、「人と人との関係性」の問題があるという点です。
スタッフが「相談しても大丈夫だ」と安心できる環境であれば、欠員の兆しは早い段階で管理者の耳に届きます。逆に、そうでない職場では、小さな不調和が誰にも共有されないまま積み重なり、ある日突然、欠員として表面化します。
人員配置に関する理解は、管理者個人の安心のためだけでなく、事業所全体の安定運営にも直結するテーマです。そのためこの記事では、新人管理者はもちろん、管理者を育てていく経営者や法人幹部の方にも押さえていただきたいポイントを整理しました。
サービス提供職員欠如減算とは、児童指導員や保育士の数が、指定基準で定められた人員配置基準を満たしていない場合に適用される減算です。
減算が始まる時期や期間は、不足の程度や継続した月数によって扱いが変わる仕組みになっており、欠如の状態が長引くほど、事業所運営への影響も大きくなっていきます。
※減算の要件などは、法令改正や自治体の運用によって変わることがあります。正確な要件は、必ず最新の法令・通知および指定権者(自治体)の案内でご確認ください
※サービス提供職員欠如減算の算定要件などはこちら
本減算に向き合ううえで大切なのは、「なぜ、人員配置基準が定められているのか」という視点です。この視点を持てるかどうかが、管理者としての理解の深さを分けるように思います。
もしこの基準がなければ、スタッフが不足した状態のまま支援が続けられ、子ども1人ひとりに十分に目が行き届かない状況が生まれかねません。
人員配置基準は、人数を揃えることが目的なのではなく、子どもたちの安全を守り、1人ひとりに適切な支援を届けられる体制を維持するための土台として定められています。
子どもが安心して過ごせるかどうかは、その場にいる大人たちが安定して関わり続けられるかどうかにかかっています。人員配置基準とは、その当たり前でありながら簡単ではないことを、制度として守ろうとする仕組みなのだと私は理解しています。
※参照
「放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月)」こども家庭庁
管理者になったばかりの頃は、日々のシフト作成や急な欠勤対応に追われ、人員配置基準そのものへの理解が後回しになりがちです。
特に、次のような場面でつまずきが起きやすいと感じています。
● 職員の退職が決まった際、後任の採用予定と照らし合わせずに対応してしまう
→ 退職者の退職日と後任職員の入社日との照らし合わせがうまくできておらず、人員配置基準が満たせなくなる状況のまま動いてしまう
● 常勤・非常勤の勤務時間数の考え方を正確に把握しないまま、シフトを組んでしまう
→ 人員の欠如が生じた際に、いつまでに何を届け出るべきかを確認せず、対応が後手に回ってしまう
もう1つ、新人管理者が陥りやすいのは、行政の窓口や法人内の担当部署、あるいは同じ立場の管理者に確認せず、1人で判断してしまうことです。管理者という立場になると、周囲から質問される側に回ることが増え、「わからないことをわからない」と言いづらくなる方もいます。
私自身、管理者になりたての頃、受け入れ児童数と人員配置基準の人員数の確認を後回しにしてしまい、周りに頼れず対応が後手に回った経験があります。しかし、大切なのは「知らないままにしない」ことです。行政や管理者の知人などにいつでも相談できる環境を作っておくことが重要です。
管理者の本来の業務は、欠員を恐れることではありません。人員配置基準の目的を理解し、日頃から欠員が起きにくい体制と、起きた際に迅速に対応できる体制の両方を整えておくことです。
具体的には、以下のような日頃からの備えが大切です。
■ 常に人員に余裕を持たせた採用計画を立てる
■ 勤務体制一覧表を予定・実績の両方で正確に作成する
■ 欠員が見込まれた段階で早めに法人内や行政に相談するこれは経験を積んだ管理者にとっても同様で、長く現場にいると、かえって慣れが判断を鈍らせることがあります。だからこそ、新人管理者に伝える立場にある人自身も、日頃の備えを定期的に見直す姿勢が求められます。
管理者の役割は、先ほどご説明した「人員配置基準に関する視点」をスタッフにも共有し、チーム全体で欠員が起きにくい体制をつくることです。伝える際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
勤務時間の記録や早めの相談を求める際、単に規則として伝えると、スタッフには管理者の都合の押しつけのように受け取られがちです。人員配置基準が子どもたちの安全な支援環境を守るためにあるという目的まで伝えると、納得感が生まれます。
勤務時間の不足や急な休みの相談を受けたとき、まず責めるのではなく、なぜそうなったのかを一緒に確認する姿勢を見せることが大切です。相談しやすい空気があるかどうかは、欠員の早期発見に直結します。
管理者から児発管やスタッフに対して、「しっかり配置してください」ではなく、「今月は◯人体制を維持する必要があるので、シフトの空きが出たら早めに教えてください」というように、具体的な数字や行動レベルで伝えると、スタッフも動きやすくなります。
入職時の説明だけで終わらせず、定例のミーティングなどで定期的に触れることで、日常の意識として根づかせることができます。
「早く言ってくれて助かった」という言葉を日頃から伝えることで、スタッフが不安や懸念を抱えたときに、早い段階で管理者に相談しやすくなります。
新人管理者にとって、上記のような伝え方ははじめからうまくできるものではありません。しかし、その目的が「守らせること」ではなく「一緒に守る体制をつくること」だと意識するだけで、伝わり方は大きく変わっていきます。
新人管理者が人員配置基準の理解が不十分なまま現場を任せてしまうと、スタッフの退職や休職が起きたときに、対応が後手に回り、事業所全体の運営リスクにつながります。
経営層の視点に立てば、人員配置に関する減算は数字の増減として語られがちです。しかし、その数字の背景には、必ず現場で判断を担う管理者がいます。新人管理者が早い段階でこの制度の目的と仕組みを理解できるよう育成することは、個人のスキルアップであると同時に、事業所全体の安定運営を支えるための投資でもあります。
管理者という役割は、決して1人で背負うものではありません。制度を正しく理解しようとする姿勢を組織全体で支え合うことこそが、結果として子どもたちの支援の質を守ることにつながるのだと思います。
新人管理者の皆さんが、恐れではなく理解をもって制度と向き合えるよう、そして経営者や法人幹部の皆さんが、その理解を支える仕組みづくりに一歩踏み出せるよう、本記事がその一助となれば幸いです。
(執筆:発達ナビ編集部)
以上、新人管理者のための「サービス提供職員欠如減算」の注意点などについて、水口先生に解説いただきました。人員配置基準などのルールの把握を徹底するには、スタッフ全員が内容を正しく理解し、意識を高めることが重要です。
こうした内容の浸透には、LITALICO発達ナビの研修教材サービスが役立ちます。具体的には、人員配置などの運営知識をはじめ、虐待防止やBCPなどの研修に活用できる解説動画などをご用意しています。
スタッフ研修の負担を減らし、支援の質を高めたい方は、ぜひ下記よりお気軽に資料をご請求ください。

※専門家執筆による「相談援助」や「虐待防止の事例検討」などをまとめた記事もございます。ぜひご覧ください。
相談援助とアセスメント:相談援助とアセスメントの基本とコツとは?
虐待防止の事例検討:虐待防止研修の「事例検討」で学ぶ体制づくりのポイント①
保訪×連携のコツ:【保育所等訪問支援】訪問先との連携・関係構築のコツ
著者:水口直人
放課後等デイサービスみなみさや管理者
株式会社鎌倉総合企画/放課後等デイサービスナイスみなみさや管理者。保育士・幼稚園教諭資格を持ち、現場歴10年以上。「安心を土台に、人が力を発揮できる仕組みを考える」を信条に、新人管理者の育成や支援の質向上に取り組んでいる。
開催中のWEBセミナー
児発・放デイの施設運営に関するお役立ち情報などをお伝えします。
無料
詳細・日程を見る
LITALICO発達ナビ for Business
関連サービス
© LITALICO Inc.