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更新日:2025/10/22

⼈事評価制度は、スタッフのモチベーションを左右する重要な制度の1つです。しかし、児発・放デイの業務は数値化しづらい「定性」的な部分も多く、どのように⼈事評価制度を作成して運用すればよいか悩んでいる方も多いでしょう。この記事では、児発・放デイの経営者や管理職の方に向けて、⼈事評価制度のポイントと作成の⼿順などを解説しました。
【この記事のポイント】
制度の構成要素:等級制度・評価制度・報酬制度の3要素がある。従業員の適切な評価し、育成するためのツール。
作成の手順:ビジョンと各部署の⽬標設定から着手。現状整理を経て、具体的かつ客観的な評価基準を言語化する。
運用のポイント:評価は3者個別で実施。査定会議で判断基準を統一し、面談を成長支援の場として活用。
⼈事評価制度とは、従業員の働きを適切に評価し、育成するためのツールです。制度の活⽤により、会社の⽬標に対し従業員がどう⾏動して結果を残し、貢献したのかを適切な基準で評価し、役職・等級・報酬などに反映することが可能になります。
⼈事評価制度は、⼈材育成や会社の⽬標達成への影響が⼤きいため、適切な作成や運⽤が必要とされています。
⼈事評価制度には、以下の3つの要素があります。
①等級制度
職務・職能・役割などの分類で、従業員に求める内容を階層化・序列化したもの。「自分は今どの階層にいて何を求められているのか」、また、「次の階層に上がるためにはどのようにすればいいのか」を認識できるように構成します。
②評価制度
従業員の⾏動や実績を評価し、昇格や降格を決定する制度。
③報酬制度
等級制度や評価制度などに基づき賃⾦を決定する制度で、等級制度や評価制度が定まってから作成する制度。
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続いて、人事評価制度が未整備だった場合に起こり得るリスクと、整備されている場合に得られる効果をご紹介します。
モラルハザードの増加(責任逃れや協⼒不⾜)
能⼒開発の⽋如(能⼒開発が制限され、効率性や質の向上が阻害される)
優秀なスタッフのモチベーション低下と離職
法令違反・不正⾏為・規則違反 など
スタッフのモチベーション向上
⼈材の定着率の向上
職場内の信頼関係の強化
優秀な⼈材の採⽤
法令順守の強化 など
児発・放デイでは、スタッフの定着や育成がサービスの質の向上に直結します。適切な⼈事評価制度の設定や運⽤は、「⽀援の質向上」という効果にもつながりますので、事業所の理想的な状態は以下のようなものと言えるでしょう。
客観的な⼈事評価制度の仕組みが整っている
報酬の決定だけでなく⼈材育成を⽬的に運⽤できている
制度が⼈材育成の仕組みと連動している
スタッフが⾃分の役割と業務内容、それに紐づく報酬に対して納得感を持っている
それでは、次項から「作成手順」についてご説明します。
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[新⼈研修のポイント](人的環境の土台作りに)
[法定研修のポイント](質の担保と運営指導対策に)
⼈事評価制度の作成手順は、次の5ステップで行っていきます。それぞれの内容を見ていきましょう。
■⼈事評価制度を作る5ステップ
STEP 1 :会社のビジョン・経営⽅針・部署⽬標の設定
STEP 2 :スタッフ全員への伝達
STEP 3 :事業所の現状整理
STEP 4 :等級と要件の明確化
STEP 5 :評価項⽬の作成
STEP 1では、会社のビジョンと部署の⽬標を整理していきます。前述の通り、⼈事評価制度は会社の⽬標に対する従業員の⾏動と結果を評価するため、まずは会社側のビジョンをクリアにする必要があります。
「各部署が何を行い、どのようなマインドであればビジョンに近づけるのか?」を問いながら、各部署の⽬標を整理していくことをオススメします。
■例:LITALICOの場合

STEP 2では、⼈事評価制度の詳細を作っていく前に、スタッフ全員に対して「会社の考え⽅や⽅向性」「⼈事評価制度の⽬的と役割」を伝えていきます。
【注意点】
⼈事評価制度とビジョンのつながりが⾒えなかったり、制度が⼈材育成や働きやすさにつながることをしっかり説明できなかった場合は、スタッフ(評価される側)からはもちろん、評価者(評価する側)からも不満の声が出てしまいますので注意しましょう。
STEP 3では、①経営陣・管理職以上で現状の課題と理想像を整理する、②スタッフ全員にヒアリングシートを記⼊してもらうという2点に取り組みます。
まずは経営陣や管理職(=評価する側)のメンバーで、以下のように現状の課題と理想像を整理していきます。
1. 現状の⼈材を整理する(強み・弱みの洗い出し)
2. 理想の⼈物像を整理する
STEP 1で設定したビジョンと部署の⽬標に⽴ち返りつつ、ビジョンや部署⽬標を達成するためにどのような⼈材であるべきかを考える
3. ⼈材育成の⽅向性を決める
理想像と現状(強み・弱み)とのギャップが「⼈材育成の⽅向性」になる
事業所の現状整理で行うべき2点⽬は、スタッフ全員にヒアリングシートを記⼊してもらうことです。ヒアリングシートには以下2点を記載してもらうようにしましょう。
1. 現在、⾏っている業務の内容・⽐重・課題
2. 本来やるべきだが実施できていない業務の内容とその阻害要因
STEP 1〜3を通じて、⼈事評価制度の⽅向性と、実際の要件や評価軸を作るための材料が揃いました。STEP 4〜5では、具体的な評価基準を作成していきましょう。
■⽤語の定義とイメージ
・等級:業務役割と業務レベルを階段状にしたもの
・要件:各等級においてどのような業務レベルが求められるのかを⾔語化したもの
■Point
等級と要件に加えて⼤まかな仕事のレベルも⾔語化しましょう。仕事レベルは⼀⾔で表現するのがコツです。
■評価基準の例:

評価項⽬は、理想の⼈材像に向けて成⻑してもらうための⾏動基準です。等級や要件を基にしつつ、会社の⽬標を達成するには、「各等級の⼈がどれくらいの成果を出すべきか、どのようなスキルを発揮すべきか、どのようなマインドを持つべきか」を⾔語化していくことが重要です。
評価項⽬を作成するための基礎知識として、以下4つの「評価の視点」を押さえておきましょう。
①業績評価 | 数値で表わすことができ、その結果によって評価できる項目 |
②成果評価 | 数値で表わすことはできないものの、業績に直結する重要な役割や仕事(例:顧客管理や⼈材教育)を評価する項⽬ |
③能力評価 | 成果⽬標で求められる内容を確実に実⾏し、業績⽬標を達成できる⼈材となるために必要な能⼒・知識・資格を評価する項⽬ |
④情意評価 | 仕事に対する姿勢を評価する項⽬ |
■評価項目の例:

【補⾜】
・評価をつけるときは、実際にこの項⽬に従って評価をしていきます
・各ブロック2個以上の項⽬が含まれることもあるため、「①」と振っています

「定性」情報とは、数字で表現することができない情報のことを指します。児発・放デイでは経験的な側面も多く、言語化が難しいことも多いでしょう。これらの情報は数字に表わせない分、評価項⽬を設定する際の難易度は⾼くなります。

「定性」評価では、以下の点に注意しましょう。
たとえば、個別⽀援計画1つとっても、「よい個別⽀援計画はどのようなものか、そうでない計画はどのようなものなのか」という内容をうまく言語化できるでしょうか。難しいですが、⾔語化されていないとスキルを正しく評価することができません。
⾔語化できたとしても、その表現への解釈は⼈によって異なることがあります。たとえば、「丁寧に保護者さまと対話する」という表現でも、「丁寧」とは何か、「対話」とは何かといった解釈の余地があることも評価設定を難しくしているため、なるべく具体的に、解釈のズレが生じないように意識しましょう。
最後に、⼈事評価制度の運⽤プロセスを簡単にご紹介します。
■⼈事評価制度を運⽤する4ステップ
STEP 1:評価の実施
STEP 2:査定会議
STEP 3:⾯談
STEP 4:⽬標設定
STEP 1の「評価の実施」のポイントは以下の通りです。
上司2⼈で評価することで客観性を持たせることがポイントです。
1枚の評価シートを使うと、記⼊中にお互いの評価に引っ張られてしまい、客観性が失われます。シートを分けて各自で⼊⼒するようにしましょう。
また、必ず被評価者(本人)にも⾃⼰評価をしてもらいましょう。⾃⼰評価は、⾃分の業務レベルを適切に把握する⼒を⾝につけることができます。
評価の納得感のためだけでなく、評価者にとっては根拠に基づいて評価をするようになったり、被評価者の⽇常業務を観察するようになる効果があります。また被評価者にとっては、次の適切な⽬標設定につながることも考えられます。
STEP 2の「査定会議」の⽬的とポイントは以下の通りです。
評価者同⼠の判断基準を統⼀する
被評価者の育成⽅針を全体で共有する
評価を決定する
⾼い評価をする上司に評価してほしい、低い評価をつけた上司に不満がたまるという弊害を防ぐ
次の⽬標設定への⽬線を合わせる
調整役には評価者よりも上の地位にいる⼈物や⼈事の総括など、両者に意見を⾔える⼈を設定するといい
STEP 3の「⾯談」のポイントは以下の通りです。
⾯談は「成⻑⽀援の場」だと位置づけ、綿密ににコミュニケーションを取ることが重要
ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックをバランスよく組み合わせる
必ず被評価者の所感や想いを聞く時間を取る
評価の根拠の伝え漏れ、あいまいな伝達を避けるために、事前に面談シートを作成する
STEP 4の「⽬標設定」のポイントは以下の通りです。
S:Specific(具体的である)
M:Measurable(測定可能である)
A:Agreed upon(同意できる)
R:Realistic(現実的である)
T:Timely(期限がある)
⼈事評価制度は、本格的な運⽤が始まると変更するまで⼀定の時間を要します。はじめて設定する場合や現制度を変更する場合、目安としてお試し運⽤を3回程度実施することがオススメです。
たとえば、以下のような形です。
1回目:評価者の評価⼿順の理解、評価基準の改善
2回目:評価者の評価スキルの確認・指導、評価基準の改善
3回目:評価結果の妥当性確認、評価者の部下指導レベルの確認
トライアルを重ねながら、スタッフとすり合わせを⾏いましょう。
また、納得度に関するアンケートの実施も重要です。毎回納得度をアンケートで確認し、評価者・被評価者・経営陣の認識を合わせていきましょう。
以上、人事評価制度について見てきました。
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