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更新日:2024/3/27

令和6年度報酬改定|インクルージョンの推進にまつわる改定内容とは?

監修:安田大祐

| 行政書士法人リブレ 代表社員・行政書士/社会保険労務士

目前に迫った令和6年度報酬改定。厚生労働省及びこども家庭庁では、改定に向けた議論が着々と進んでおり、その議論内容を纏めた資料も順次公開されています。

今回の記事では、2024年2月6日に厚生労働省HPにて公開された「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」の資料の中から、インクルージョンの推進に関する内容をピックアップし、お伝えしていきます。

  • 令和6年度報酬改定に対応した「保育・教育等移行支援加算」の記事は下記を参照ください。
    「放デイ・児発」における保育・教育等移行支援加算とは?【令和6年度報酬改定対応】

    令和6年度報酬改定に対応した「保育所等訪問支援」の記事は下記を参照ください。
    報酬改定でいよいよ実施事業所増加?経営的にも取り組むべき「保育所等訪問支援」の詳細解説!【令和6年度報酬改定対応】

    ※本記事はすべての関連情報や各指定権者の解釈等を網羅するものではありません。記事の内容には万全を期しておりますが、実務においては必ずご自身でも指定権者および関係⾏政などの最新情報をご確認ください。
    目次

    1.インクルージョンの推進について

    インクルージョン推進の重要性

    まず、インクルージョンの推進について整理していきます。インクルージョン推進はなぜ重要だと捉えられているのでしょうか。

    インクルージョンとは、障害のあるこどもが地域社会に参加すること・地域社会が受け入れることを意味する言葉です。年少期より、障害の有無にかかわらず、子ども達が様々な遊びなどの機会を通じて共に過ごし、学び合い、成長することができる社会の実現を目指し、インクルージョンを推進していくことが重要であるとされています。

    インクルージョンは国際的にも促進が求められている概念であり、厚生労働省でもインクルージョンの推進に当たって、児童発達支援・放課後等デイサービスの役割や支援範囲についてどのような整理が必要かが検討されてきました。

    インクルージョンを推進するためにできること

    では、インクルージョン(障害のあるこどもが地域社会に参加すること・地域社会が受け入れていくこと)を推進していくために、障害児通所支援ができることは何でしょうか。大きく2つあります。

    ①児童発達支援・放課後等デイサービスにおいて、こどもの一般施策※への移行・併行通園を進めていくこと

    ※一般施策とは、具体的には以下の施設等を指します。

    • 保育所

    • 幼稚園

    • 認定こども園

    • 放課後児童クラブ(学童)

    • 児童館

    • 放課後こども教室(児童会館)

    ②保育所等訪問支援を進めていくこと

    保育所等訪問支援は、保育所や学校などを訪問して障害のあるこどもの集団生活適応のための支援を行ったり、保育所等の先生方に支援方法の助言を行ったりするサービスです。つまり、一般施策の中で障害のあるこどもが生活できるように子ども本人や施設(一般的な保育園等)をサポートするものであり、そのためインクルージョンを推進していくための重要なサービスであると考えられています。

    児童発達支援・放課後等デイサービスにおけるインクルージョン推進の現状

    ここからは、児童発達支援・放課後等デイサービスに焦点を当てて見ていきます。児童発達支援・放課後等デイサービスにおけるインクルージョン推進の現状を見ていきましょう。

    過去の検討会では、

    ・障害児通所支援で適切な支援を受けながら一般施策(保育所や放課後児童クラブ等)を利用するということが、選択肢として検討しづらくなっている
    ・障害児支援利用計画の作成や事業所での支援において、インクルージョンの推進が必ずしも十分に意識・考慮されていない

    という指摘がされてきました。
    移行支援の現状に関しては、次のようなデータも出ています。

    【令和2年4月~令和3年9月の一般施策移行児童の有無】

    • あり 20.8%

    • なし(不明含む)79.2%

    【移行時に事業所で利用していたサービス】

    • 児童発達支援(センター含む)70.4%

    • 医療型児童発達支援 12.2%

    • 放課後等デイサービス 17.4%

    【一般施策の移行先】

    ◎児童発達支援(センター含む)

    • 幼稚園 44.7% 

    • 保育所 37.7% 

    • 認定こども園 10.8%

    ◎放課後等デイサービス

    • 放課後児童クラブ 48.8% 

    • 放課後子ども教室 46.2%

    参照:第4回障害児通所支援に関する検討会(令和4年10月25日)参考資料3(p.6)

    データで見ると、児童発達支援・放課後等デイサービスから一般施策に移行したこどもがいる事業所が全体の2割程度となっていて、移行支援が十分に行われているとは言い難い状況です。
    以上のように、業界としてインクルージョンの推進は大きな課題の一つとして考えられています。

    また、報酬上の評価としては、保育・教育等移行支援加算がありますが、下記のように現行の加算は利用児童が退所した後の相談援助に対する評価であり、入所中の保育所等との調整や引継ぎなど移行前の支援については算定の対象となっていません。そのため、検討会では移行前の支援についても評価されるべき旨が指摘されていました。

    ■「保育・教育等移行支援加算(500単位/1回)」

    利用児童が事業所を退所して保育所等へ完全に移行した際に、退所後30日以内に居宅等を訪問して相談援助を行った場合に取得できる加算(平成30年度報酬改定で創設)

    2.報酬改定の内容

    先述の課題を踏まえ、今回の報酬改定ではインクルージョン推進について以下のような改定内容が示されています。大きく2つです。

    ①インクルージョンに向けた取組の推進(運営支援の新設・一部改正)
    ②保育・教育等移行支援加算の見直し

    それぞれ詳しく見ていきましょう。

    ①インクルージョンに向けた取組の推進(運営支援の新設・一部改正)

    併行通園や保育所等への移行等、インクルージョン推進の取組が求められます。合わせて、事業所の個別支援計画において具体的な取組等について記載し、その実施が求められるようになり、運営基準が一部変更・新設されます。

    ≪運営基準【新設・一部改正】≫

    〇 指定児童発達支援事業者は、障害児が指定児童発達支援を利用することにより、地域の保育、教育等の支援を受けることができるようにすることで、障害の有無にかかわらず、全ての児童が共に成長できるよう、地域社会への参加・包摂(インクルージョン)の推進に努めなければならない。

    〇 児童発達支援管理責任者は、(中略)インクルージョンの観点を踏まえた指定児童発達支援の具体的内容、指定児童発達支援を提供する上での留意事項その他必要な事項を記載した児童発達支援計画の原案を作成しなければならない。

    厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」P85

    ②保育・教育等移行支援加算の見直し

    保育・教育等移行支援加算について、保育所等への移行前の移行に向けた取組等についても評価を行うよう見直しが実施されます。

    ■見直し前

    単位数:500単位/回(1回を限度)
    要件:障害児が地域において保育・教育等を受けられるよう支援を行うことにより、通所支援事業所を退所して保育所等に通うことになった場合(退所後に居宅等を訪問して相談援助を行った場合)

    ■見直し後

    保育・教育等移行支援加算の見直し後の要件・単位数

    参考:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」P86~

    事業所の支援においてインクルージョンが考慮されるよう個別支援計画への記載・実施を求めるなど、確実に実施されるような方向で考えられています。保育・教育等移行支援加算については、移行前の取組も評価される方向ですので、評価が広がったと言えますね。

    それでは最後に、報酬改定に対応するために実施すべきことについて確認していきましょう。

    3.報酬改定に対応するためには

    児童発達支援・放課後等デイサービスで実施すべきインクルージョン推進の取組とは

    インクルージョンの取組としては、保育所や放課後児童クラブ等への移行・併行通園を進めていくために、具体的な取組事項として、次のようなことに取り組む必要があると言えます。

    ①こどもの障害特性や発達の状態を適切に把握する
    ②こども本人や保護者の意向を尊重しながら、個別支援計画等に目標を設定する
    ③目標に沿って移行支援をすすめていく(移行先や家族との連携・調整・情報共有等)
    ④移行後に相談援助を行う

    今のうちに準備ができること

    報酬改定は目前に迫ってきています。報酬改定に向けて多くの改定内容が示されており、改定時に対応していくためには今からできることについて準備をすすめていくことが大切です。
    本記事でお伝えしてきたことを踏まえると、今のうちに準備すべきことは2つです。

    ①保育所や放課後児童クラブ等との関係構築
    ②支援の質の向上(適切なアセスメント・個別支援計画・支援の実施)

    インクルージョン推進に向けた取組を行うためには、保育所等との関係構築は必須となるため、まずは今のうちから関係構築を進めていきましょう。また、移行支援の取組を行うためには、こどもの発達特性や状況を適切にアセスメントすることが重要であり、保育所等へ情報共有や相談援助を行うためには根拠のある支援を行っていることも併せて重要です。よって、事業所の支援の質向上に向けて今のうちから取り組んでいくことが大切です。

    LITALICOでは、事業所の支援の質向上に向けてお役立ていただけるサービスをご用意しておりますので、ご興味ある方は以下ご覧ください。

    4.LITALICO「研修教材サービス」のご紹介

    LITALICOでは、アセスメント時に必要な情報を収集・整理するためのシートをご利用できる「研修教材サービス」を提供しております。シートを用いて、お子さまの基本情報や支援ニーズ、個と環境の情報を整理しながらアセスメントを行うことができ、さらにお子さまの「できる・できない」こと等を踏まえながら支援すべきお子さまの困りや課題に優先順位を付けをし、支援内容を決定することができます。

    シートを事業所のみなさまでご使用いただくことにより、一貫した支援が可能となります。また、同サービスでは、シートと連動した研修動画もご用意しておりますので、インプットの際にご活用いただけます。

    職員さまのアセスメント力・支援の質向上のため、お役立ていただけるサービスとなっております。

    ご関心のある方はぜひ下記からお問い合わせください。

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  • 監修:安田大祐

    行政書士法人リブレ 代表社員・行政書士/社会保険労務士

    障害福祉サービス事業所向けに、毎月関与の相談対応を基本とした実地指導対策や処遇改善加算の管理などの顧問サービスをおこなう。開業から10年以上一貫して障害福祉に専門特化している。北海道札幌市にある全国対応型の障害福祉専門の行政書士事務所。

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