更新日:2024/10/1
インクルージョンの推進により注目が集まる「保育所等訪問支援」。しかし、「いざ始めるとなると詳細なフローがわからない」などの理由からなかなか実施できていない事業所さまも多いのではないでしょうか。
この記事では、保育所等訪問支援の人員基準や基本報酬の解説、全国の実施状況についてご紹介します。
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※本記事はすべての関連情報や各指定権者の解釈等を網羅するものではありません。記事の内容には万全を期しておりますが、実務においては必ずご自身でも指定権者および関係⾏政などの最新情報をご確認ください。
保育所等訪問支援事業とは、平成24年の児童福祉法改正で創設された新しいサービスで、児童発達支援や放課後等デイサービスと同じ「障害児通所支援」の1つです。
保護者からの申請を受け、保育所や幼稚園、認定こども園、学校などお子さまが集団生活を営む施設を訪問し、通所では気づかなかった集団場面での発達上の課題について支援やフィードバックを行うことで、お子さまへの「直接支援」と該当施設の先生方への「間接支援」を提供するとともに、「保護者への報告」も行います。
児童発達支援・放課後等デイサービスなどと同じように、人員配置基準や設置基準などが定められています。
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管理者:1名(他の事業所の管理者と兼務可能)
児童発達支援管理責任者:1名以上(児童発達支援・放課後等デイサービスとの兼務可能)
訪問支援員:1名以上障害児支援に関する知識と経験を有する児童指導員又は保育士、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士など。
※訪問支援員は保育所等に単独で出向いて支援をするため、相当の知識と経験が必要とされます。そのため下記のような訪問支援員特別加算制度もあります。
※2つの職(例、管理者と訪問支援員など)を兼務することは可能です。ただし、すべてを一人の職員が兼務することはできません。
事業運営を行うために必要な広さを有する区画(受付や相談室、事務室など)を設けること※
衛生管理等のための備品や支援提供に必要な教具や教材などの備品を整備すること
※区画は、運営に支障がなければ、他事業と兼ねても構いません
参考:厚生労働省,平成28年度障害者総合福祉推進事業,「保育所等訪問支援の効果的な実施を図るための手引書」
※専門家執筆による、保育所等訪問支援での「先生方との関係構築のコツ」についてはこちら

保育所等訪問支援給付費 1,071 単位(令和6年度~)
※訪問支援時間が30分未満の場合、算定不可
訪問支援員特別加算(Ⅰ)+850単位
※障害児支援の業務従事10年以上または保育所等訪問支援の業務従事5年以上
訪問支援員特別加算(Ⅱ)+700単位
※障害児支援の業務従事5年以上または保育所等訪問支援の業務従事3年以上
特別地域加算 +15/100
初回加算 +200単位
家族支援加算(Ⅰ)※個別での相談援助(月2回まで)
居宅を訪問・1時間以上 +300単位
居宅を訪問・1時間未満 +200単位
事業所等で対面 +100単位
オンライン +80単位
家族支援加算(Ⅱ)※グループでの相談援助(月4回まで)
事業所等で対面 +80単位
オンライン +60単位
多職種連携支援加算(月1回まで)+200単位
ケアニーズ対応加算 +120単位
強度行動障害児支援加算 +200単位
関係機関連携加算(月1回まで)+150単位
利用者負担上限額管理加算(月1回まで)+150単位
福祉・介護職員等処遇改善加算など
児童発達支援管理責任者の欠如 5か月未満×70/100、5か月以上×50/100
保育所等訪問支援支援計画が未作成 3ヶ月未満× 70/100、3ヶ月以上×50/100
一人の訪問支援員が複数の障害児に支援した場合 ×93/100
身体拘束廃止未実施減算 ×99/100
虐待防止措置未実施減算 ×99/100
情報公表未報告減算 ×95/100
業務継続計画未策定減算(令和7年4月1日~適用) ×99/100
自己評価結果等未公表減算(令和7年4月1日~適用)×85/100
1人の利用者に月1回実施した場合のひと月の報酬額を、加算なしの場合とできる限り加算を算定した場合に分けて計算してみます。
※地域区分はその他(0%)とし、1単位の単価は10円で計算
<加算なしの場合のひと月の報酬額>
保育所等訪問支援給付費(1,071) ×1単位の単価(10.0) → 1,071 × 10.0 = 10,710円
<できる限り(※)加算を算定した場合のひと月の報酬額>
※訪問指導員1人かつ対象児を障害児(併用事業所なし)と仮定した場合を想定
訪問支援員特別加算(Ⅰ):850
初回加算:200
家族支援加算(Ⅰ)居宅を訪問・1時間以上:300
関係機関連携加算:150
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅰ):+所定の単位数(基本報酬と加算の合計)×12.9%
保育所等訪問支援給付費(1,071)+加算(850+200+300+150)+処遇改善加算(331)×1単位の単価(10.0)=29,020円
1人の利用者に月1回支援をした場合の報酬額は、加算を算定しない場合でも約1万円、加算をできる限り取得した場合は約3万円という結果になりました。
多くの利用者さまに保育所等訪問支援を実施することは、一人ひとりに充実した支援を届ける意義だけでなく、事業所の安定経営にもつながります。

平成24年度から令和4年度にかけての、全国の保育所等訪問支援事業所数の推移は以下の図の通りです。

引用:障害福祉サービス等報酬改定検討チーム第39回(R5.10.18)資料2
上記図のように、保育所等訪問支援に取り組む事業所が年々増加してきています。直近の令和3年度、4年度では、これまで以上に事業所数が増加してきていることが伺えます。
平成24年度から令和4年度にかけての保育所等訪問支援を利用している利用者数の推移は、以下の図の通りです。

引用:障害福祉サービス等報酬改定検討チーム第39回(R5.10.18)資料2
事業所数の推移と同様に、利用者数も年々増加していることが分かります。特に令和4年度では特に伸び率が高くなっています。
今見てきたように、保育所等訪問支援を行う事業所数とその利用者数は、年々増加傾向にあります。近年、障害児支援においてインクルージョン推進の重要性が改めて言及されてきている中で、一般施策の中で障害のある子どもが生活できるように子ども本人や施設をサポートする保育所等訪問支援に今後ますます注目が集まることが予想されます。
加えて、これまでの報酬改定で児童発達支援や放課後等デイサービスのマイナス改定があったことや報酬額(収入)に限界があることなどを踏まえると、保育所等訪問支援に参入することは事業所経営の面でも大きなメリットがあると言えるでしょう。
今、事業所全体で保育所等訪問支援事業を行う体制を整え、お子さまと保護者さまに支援を届けることが、1年後、2年後のお子さまの成長と保護者さまからの信頼の獲得、事業所運営の安定につながります。
LITALICO発達ナビには、保育所等訪問支援を始めたい方に向けて研修教材サービスをご用意しています。具体的には、以下のパートに分けた動画で丁寧に解説します。
サービス概要編
訪問先との関係構築編
支援計画作成編
支援提供編
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なお、研修教材サービスには、上記以外に①支援に関する研修動画、②運営知識や法定研修の解説動画、③家族支援に活用できる解説動画などもあります。
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