更新日:2024/3/27
目前に迫った令和6年度報酬改定。厚生労働省及びこども家庭庁では、改定に向けた議論が着々と進んでおり、その議論内容をまとめた資料も順次公開されています。
今回の記事では、2024年2月6日に厚生労働省HPにて公開された「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」の資料の中から、医療的ケア児・重症心身障害児への支援に関する内容をピックアップし、お伝えしていきます。
令和6年度報酬改定に対応した「医療連携体制加算」の記事は下記を参照ください。
「放デイ・児発」における医療連携体制加算とは?【令和6年度報酬改定対応】
令和6年度報酬改定に対応した「送迎加算」の記事は下記を参照ください。
「放デイ・児発」における送迎加算とは?【令和6年度報酬改定対応】
※本記事はすべての関連情報や各指定権者の解釈等を網羅するものではありません。記事の内容には万全を期しておりますが、実務においては必ずご自身でも指定権者および関係⾏政などの最新情報をご確認ください。令和6年度報酬改定ではどのような方針が示されたのか、医療的ケア児・重症心身障害児への支援に関わる部分をピックアップしてみていきましょう。今回の報酬改定では、主として重症心身障害児を通わせる事業所の基本報酬の見直しと、4つの加算の見直し・新設が実施されます。改定の概要は以下の通りです。
①主として重症心身障害児を通わせる事業所の評価の見直し
②医療連携体制加算(Ⅶ)の見直し
③送迎加算の見直し
④入浴支援加算の新設
⑤共生型サービス医療的ケア児支援加算の新設
ひとつひとつ確認していきましょう。
重症心身障害児への支援を促進する観点から、主として重症心身障害児を通わせる事業所の基本報酬について、定員による区分設定を、1人単位刻みから3人単位刻みとする見直しが実施されます。
法第6条の2の2第2項に規定する厚生労働省令で定める施設において重症心身障害児に対し指定児童発達支援を行う場合
⑴ 利用定員が5人の場合:2,098 単位
⑵ 利用定員が6人の場合:1,757 単位
⑶ 利用定員が7人の場合:1,511 単位
⑷ 利用定員が8人の場合:1,326 単位
⑸ 利用定員が9人の場合:1,184 単位
⑹ 利用定員が10人の場合:1,069 単位
⑺ 利用定員が11人以上の場合:837 単位
法第6条の2の2第2項に規定する厚生労働省令で定める施設において重症心身障害児に対し指定児童発達支援を行う場合
⑴ 利用定員が5人以上7人以下の場合:2,131 単位
⑵ 利用定員が8人以上10人以下の場合:1,347 単位
⑶ 利用定員が11人以上の場合:850 単位
放課後等デイサービスも単位数こそ変わりますが、児童発達支援と同様に3人単位刻みでの区分に変更されています。
また、今回の報酬改定で時間区分の創設が実施される予定ですが、主として重症心身障害児を通わせる事業所の基本報酬については時間区分創設の見直しは実施されません。
医療的ケア児への支援の促進を図る観点から、認定特定行為業務従事者による支援を評価する医療連携体制加算(Ⅶ)の見直しが実施されます。また、主として重症心身障害児に対して支援を行う事業所においても算定が可能になります。
単位数:100単位/日
要件:
喀痰吸引等が必要な障害児に対して、認定特定行為業務従事者が、医療機関等との連携により、喀痰吸引等を行った場合
医療的ケア区分による基本報酬又は主として重症心身障害児に対して支援を行う場合の基本報酬を算定している場合は算定しない
単位数:250単位/日
要件:
喀痰吸引等が必要な障害児に対して、認定特定行為業務従事者が、医療機関等との連携により、喀痰吸引等を行った場合
医療的ケア区分による基本報酬を算定している場合は算定しない
このように、見直し後も医療的ケア区分による基本報酬を算定している場合は算定できませんが、主として重症心身障害児に対して支援を行う場合の基本報酬を算定している場合は算定可能となっています。
医療的ケア児や重症心身障害児の送迎について、こどもの医療濃度等も踏まえた算定要件に変更されます。


こどもの発達や日常生活、家族を支える観点から、医療的ケア児や重症心身障害児に、発達支援とあわせて入浴支援を行った場合に加算を算定できるようになります。
入浴支援加算
単位数:55単位/回(月8回を限度)
要件:医療的ケア児又は重症心身障害児に、発達支援とあわせて入浴支援を行った場合
医療的ケア児の受入れ先の拡充を図る観点から、共生型サービスにおいて医療的ケア児に対して支援を行った場合に加算を算定できるようになります。
共生型サービス医療的ケア児支援加算
単位数:400単位/日
要件:共生型サービスにおいて、看護職員等(認定特定行為業務従事者を含む)を1以上配置し、地域に貢献する活動を行っているものとして届け出た事業所において、医療的ケア児に対して支援を行った場合
参考:「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」P79~81
ではなぜ医療的ケア児・重症心身障害児への支援について変化があるのでしょうか。
改定内容の確認の際にも現行加算等を記載しましたが、改めて、過去の報酬改定に関する検討会資料より従来の制度と課題について確認しましょう。
まずは医療的ケア児を取り巻いてきたこれまでの状況について確認していきます。
医療的ケア児への支援に関して、現状看護職員が医療的ケアを提供した場合は、
のどちらかの請求が可能となっていました。
①②の詳細に関して、ひとつずつ確認していきましょう。
一般型事業所で医療的ケア児への支援を行った場合、以下のような基本報酬となっていました。
医療的ケア区分3の場合 2,604単位
医療的ケア区分2の場合 1,604単位
医療的ケア区分1の場合 1,271単位
医療的ケア児以外の場合 604単位
※放課後等デイサービス(3時間以上)10人定員の場合を想定しています
※医療的ケア区分に応じて看護職員を配置して支援を行う必要があります
医療連携体制加算はⅠ~Ⅶまでありました。
基本的には、病院等から看護職員の訪問を受け、事業所を利用する障害児に看護を提供した場合に算定できる加算ですが、事業所に配置する看護職員が看護を行うことでも算定可能です。また、同時に医療的ケア区分に応じた基本報酬を算定することはできません。
このように医療的ケア児への支援を行った際には、医療的ケア区分や医療機関との連携によって算定できる内容は多岐にわたります。
次に、重症心身障害児を取り巻く従来の制度を確認していきます。
主として重症心身障害児に放課後等デイサービスを提供する場合、以下のような基本報酬となっていました。
定員5人の場合 1,756単位
定員6人の場合 1,467単位
定員7人の場合 1,263単位
定員8人の場合 1,108単位
定員9人の場合 989単位
定員10人の場合 893単位
定員11人以上の場合 686単位
※授業終了後に提供する場合の単位
また、医療的ケア児・重症心身障害児の送迎については、現状送迎加算にて以下のように取り決められていました。
施設を利用しているお子さまに対して居宅等と施設等の間の送迎を実施した場合に、片道につき所定単位数を算定できる加算
障害児(重症心身障害児を除く)に対して行う場合 54単位
※看護職員を伴い、医療的ケア児に対して行う場合 上記単位数に37単位加算
重症心身障害児に対して行う場合 37単位
その他医療的ケア児・重症心身障害児ともに入浴支援について、支援ニーズが大きいとの声があり、実際に児童発達支援や放課後等デイサービスにおいても、発達支援とあわせて、事業所で入浴支援が提供されている例もあります。
前述のような体制で行われている医療的ケア児・重症心身障害児への支援ですが、報酬改定に関わる議論の中では医療的ケア児への支援、重症心身障害児の報酬、入浴支援、送迎支援の4つに対して課題が挙げられました。
それぞれ確認していきましょう。
医療的ケア児への支援において基本報酬の算定要件となる看護師の確保が困難
看護師を配置しない場合でも認定特定行為業務従事者を配置すれば算定可能な医療連携体制加算Ⅶについては算定率が低い
重症心身障害児を地域で支援する体制に課題がある
既存事業所の定員枠を増やす方法では定員が1名増えるごとに報酬の減少幅が大きく、定員枠を増やすことが難しい
入浴支援は地域生活支援事業において、訪問入浴サービスが事業として設けられているが、任意事業であり、実施状況は自治体によって異なる
医療的ケア児や重症心身障害児の送迎について、医療濃度等、こどもの状態像により、看護職員を複数配置して送迎を行う必要がある場合もあるため、現行の送迎加算では不十分である
このように、加算の算定状況や支援の体制についていくつかの課題がみられたことから、今回の報酬改定では、この4つの課題に沿って改定内容が打ち出されることとなりました。
ここまで令和6年度報酬改定で医療的ケア児・重症心身障害児への支援に関わる部分をピックアップし、課題と現状を確認してきました。
最後に改めて今回の報酬改定の内容をまとめますと以下の通りとなります。
①主として重症心身障害児を通わせる事業所の評価の見直し
②医療連携体制加算(Ⅶ)の見直し
③送迎加算の見直し
④入浴支援加算の新設
⑤共生型サービス医療的ケア児支援加算の新設
報酬改定では様々な内容が議論され改定される方針が示されています。
本記事を参考に現状からどのように変化するのかを捉えて、適切な事業所運営にお役立ていただけますと幸いです。
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監修:高橋 悠
ウェルフェア社会保険労務士法人 代表社員
社会保険労務士 / 行政書士
福祉業界に特化した労務やコンプライアンスの支援サービスをおこなう。
著書に『改訂版 就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)事業所運営・管理ハンドブック』『障害福祉サービス事業所の処遇改善加算・特定処遇改善加算実務ハンドブック』など。
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