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更新日:2023/11/1
監修:瀧上 真悟
| 社会福祉士
千葉県社会福祉会会員 / JAPAN MENSA会員

児童福祉法の改正にともなって、令和6年度より児童発達支援事業の報酬改定が行われる予定となっています。事業所を運営されている方の中には、具体的な内容について気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、そのような方へ向けて「児童発達支援事業の報酬改定の背景」や同時に検討が進められている「児童発達支援センターの役割(在り方)」といった内容について、わかりやすく解説していきます。
※今回の記事は児童発達支援事業所と児童発達支援センターのうち、「児童発達支援センター」について記載しているものとなります。
まず初めに、令和6年度の児童発達支援の報酬改定の背景について解説していきます。報酬改定には令和4年に成立した改正児童福祉法が関わってきますので、この法律について見ていきましょう。
児童福祉法とは、児童が良好な環境に生まれ、心身ともに健やかに育成されるように保育・母子保護・児童虐待防止対策など、すべての児童の福祉を支援する法律です。
参考文献:児童福祉法 | 内閣府男女共同参画局
令和4年度にこの児童福祉法が改正される運びとなりました。改正される背景として、厚生労働省の資料では下記のように記載されています。
児童虐待の相談対応件数の増加など、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化してきている状況等を踏まえ、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化等を行う。
引用資料:改正児童福祉法の概要(p.1)
このような背景をもとに、改正児童福祉法では下記のような取り組み(一部抜粋)を推進していくことが決定しました。
子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化及び事業の拡充【児童福祉法、母子保健法】
~中略~
③児童発達支援センターが地域における障害児支援の中核的役割を担うことの明確化や、障害種別にかかわらず障害児を支援できるよう児童発達支援の類型 (福祉型、医療型)の一元化を行う。
引用資料:改正児童福祉法の概要(p.1)
上記の内容の通り、児童発達支援センターの役割・機能明確化を行うことなどが記載されています。
報酬改定については、児童発達支援センターの中核的役割・機能の発揮を促進させるため検討が進められる運びとなっており、厚生労働省の資料では、下記のように記載されています。
児童発達支援センターは、地域における中核的な支援機関として、以下のような役 割・機能を担うべきものであることを、児童福祉法や指定基準において明確化することが必要である。また、これらの役割・機能の発揮が促される報酬体系となるよう検討が進められる必要がある。
引用資料:「障害児通所支援の在り方に関する検討会報告書-すべての子どもの豊かな未来を目指して-」 (p.5)
このように、令和6年度の報酬改定は、児童発達支援センターの役割や機能の検討と関連性があるため、合わせて内容を抑えておくことが大切です。
それでは、現在検討されている「児童発達支援センターの在り方(役割)」とはどんなものなのか、その現状と課題から詳しく見ていきましょう。
児童発達支援センターは平成24年の改正児童福祉法によって創設されました。
当時の議論では、児童発達支援センターの役割について下記のように定義されています。
児童発達支援を行うほか、施設の有する専門性を活かし、地域の障害児やその家族への相談、障害児を預かる家族への援助・助言を合わせて行う地域の中核的な療育支援施設
また、第2期障害児福祉計画の基本指針※においても、下記のように定義されており、児童発達支援センターは、地域における支援施設として重要な役割を果たすことが求められています。
「障害の重度化・重複化や多様化に対応する専門的機能の強化」を図った上で、 「地域における中核的な支援施設」として、一般の「事業所と密接な連携」を図るもの
※第2期障害児福祉計画:児童福祉法第33条の20に基づき、児童の年齢や発達の程度に応じて、児童と家族の意見が尊重される中で、その最善の利益が考慮され、児童が心身ともに健やかに育成されるよう、必要な福祉サービスの給付やその他の支援に関して数値目標を設定し、実現していく計画。
上記の通り、児童発達支援センターの役割が定義されてはいますが、一方で下記のような現状と課題があります。
現場では、障害の重度化や多様化に加え、要支援・要保護児童に該当する障害児など様々な課題を抱えている支援を必要とする障害児(及び家庭)があるが、現行の児童福祉法や指定基準・報酬告示では、こうした幅広い高度な専門性に基づく支援を必要とする子ども達への支援をはじめとする児童発達支援センターが果たすべき役割・機能が明記されておらず、また、期待される役割・機能の発揮が促される構造(指定基準・報酬告示)には必ずしもなっていない。
つまり、障害のある子どもたちに対して、児童発達支援センターが果たすべき役割や機能が現状は明確にされておらず、児童発達支援センターの構造についても、果たすべき機能や役割が十分に発揮できるようにはなっていない、という課題が挙げられています。
そうした現状や課題を踏まえながら、児童発達支援センターの役割(在り方)について、現在検討が進められています。
続いて、前章でお話しした児童発達支援センターの現状や課題を踏まえながら、児童発達支援センターの役割(在り方)に関して、新たに議論・検討されている内容について解説します。
厚生労働省の資料「障害児通所支援の在り方に関する検討会報告書」では、「児童発達支援センターが、地域における中核的な機関として担うべき役割・機能」について、以下の4つの機能を挙げています。
幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能
地域の障害児通所支援事業所に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能
地域のインクルージョン推進の中核としての機能
地域の障害児の発達支援の入口としての相談機能
それぞれ順番に見ていきましょう。
1つ目の「幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能」とは、下記のような様々な課題を抱えている子どもとその家族に対して、必要な支援機能を備えること、とされています。
重度の障害のある子ども
複数の障害のある子ども
支援や保護が必要な子ども など
上記のような、多種多様な課題に対して、幅広く対応するために、高度な専門性のある職員や支援環境を配置しておくことが配置するべきであるとされています。
2つ目の「地域の障害児通所支援事業所に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能」とは、①の機能で挙げたような「専門性の高い支援を必要とする障害のある子どもとその家族」への支援に関して、その地域の児童発達支援事業所や放課後等デイサービスで支援を行う場合に、児童発達支援センターは下記のような専門的な助言を行うこと、とされています。
アセスメントや個別支援計画の作成
具体的な支援方法 など
3つ目の「地域のインクルージョン推進の中核としての機能」とは、その地域において「インクルーシブ(包括的)な子育て支援」を推し進めていくために、下記のような施設で行われる「障害のある子どもとその家族への支援」に関して、専門的なサポートやアドバイスを行うこと、とされています。
保育所・幼稚園
放課後児童クラブ
児童養護施設 など
4つ目の「地域の障害児の発達支援の入り口としての相談機能」とは、その地域の障害のある子どもとその家族に対して、発達支援に関する入口・窓口としての相談機能を果たすこと、とされています。支援の対象には、診断を受けたわけではないが、障害があるかもしれないという「気付きや不安」のある子どもとその家族も含まれているところもポイントです。
加えて、「理学療法」「作業療法」「言語療法」といった特定プログラムによる支援が必要な障害のある子どもに対して、特定プログラムを含めた全体的に必要な支援についてのコーディネート(調整)機能を備えること、とされています。
以上、「児童発達支援センターが地域における中核的な機関として担うべき役割・機能」について解説しましたが、こうした役割・機能を総合的に果たすために、「保育所等訪問支援」や「障害児相談支援事業」としての指定を併せ持つことを原則とする方向での検討が必要と考えられています。
また、児童発達支援センターの現状について、センターに通所している児童への発達支援に手一杯となり、下記のような支援等について十分に対応できていないとの指摘も挙げられています。
地域の保育所などへの後方支援
日常生活において困難を抱えている児童に対する発達支援 など
そのため、これらを含めた先ほどの4つの機能を、その地域の中でしっかりと発揮できるようにしていくことが重要とされており、必要な指定基準や報酬体系、経過的な措置なども検討していくとされています。
ここでは、前の章でお伝えした「児童発達支援センターが、地域における中核的な機関として担うべき役割・機能」を発揮するために、具体的に行うべきことや大切なことについて解説します。
児童発達支援センターが地域の中核機能を果たすためには、専門職の役割が重要とされています。
具体的には、厚生労働省の検討会報告書によると、基本的に下記のような人員を配置する方向性で検討するべき、とされています。
保育士
児童指導員
作業療法士
理学療法士
言語聴覚士
公認心理師等
ソーシャルワーカー(社会福祉士等)
看護職員(看護師等)
栄養士等
このような人員を配置し、質の高い支援を提供することを前提としながら、様々な障害のある子どもと家族に対して、幅広く柔軟な対応ができるように、配置の仕方についても同時に検討が進められています。
適切な人員配置と合わせて、下記のようなことも重要であるとされています。
児童発達支援センター自身が積極的に専門機関や専門家などからアドバイスを受けること
職員が外部の研修などに参加し、支援に関する専門性の向上を図る事
積極的に外部からの評価を受けながら、支援の質の向上を図ること
いかがでしたでしょうか?
今回は下記の内容について解説してきました。
令和6年度の改正児童福祉法に合わせて、児童発達支援の報酬改定が検討されている。
報酬改定と合わせて、「児童発達支援センターが地域における中核的な機関として担うべき役割・機能」についても検討されている。
児童発達支援センターの役割を果たすために、適切な人員配置や専門性・支援の質の向上などが重要である。
今回解説した内容は現在、検討が進められている段階であり、令和6年度から適用される予定となっています(令和5年10月時点)。
事業所の運営・管理者の方は、今回の内容について事前にしっかりと把握しておき、自事業所の支援内容や人員配置などについて見直しておくようにしましょう。
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監修:瀧上 真悟
社会福祉士
千葉県社会福祉会会員 / JAPAN MENSA会員
社会福祉法人、NPO法人、株式会社で様々な福祉事業の立ち上げや運営に携わった後、福祉コンサルタントとして独立。
障害者総合支援法、児童福祉法、介護保険法に基づく事業を運営する企業をサポートしている。
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