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更新日:2024/1/31
監修:伊藤 誠
| WPP行政書士事務所 代表行政書士

令和6年度に障害福祉サービス等報酬改定が行われます。事業所の経営において大きな転換点となることが予想されるため、事業所としては最新情報を掴み、できることから準備を進めていくことが重要です。
一方で、
・報酬改定の最新情報を追えていない
・厚生労働省の資料を読み始めたものの、膨大かつ難解でしっかりと把握できていない
・報酬改定に向けて取り組むべき事項を明確にできていない
といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
厚生労働省及びこども家庭庁では、様々な会議体で令和6年度の報酬改定に向けた議論が行われてきました。そして、12月6日には「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について」が公表されました。そこで本記事では、児童発達支援・放課後等デイサービスのみなさまが特に注目しているであろう「支援の在り方(総合的な支援・特定領域への支援)」に関する方向性について解説していきます。
まず、12月公表の資料に記載された支援の在り方に関する方向性は下記の通りです。
支援において、5領域※をすべて含めた総合的な支援を提供することを基本とする
事業所の個別支援計画等において5領域とのつながりを明確化した上での提供を求める
5領域とのつながりを明確化した事業所全体の支援内容を示すプログラムの策定・公表を求める(未実施の場合は報酬の減算対象となる)
参考:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について p.13
※5領域とは、本人支援の5領域「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」を指します。
では、ここでいう総合的な支援、本人支援の5領域とは何かを、もう少し詳しく見ていきましょう。
総合的な支援とは何かを考える前に、障害児通所支援(児童発達支援)が提供すべきとされている支援について確認しておきましょう。
総合的な支援は児童発達支援・放課後等デイサービス共通のものですが、本人支援の5領域については「児童発達支援ガイドライン」に示されているため、これを基に確認していきます。
児童発達支援で提供すべき支援は次の3つからなり、障害のある子どものニーズに応じて総合的に提供していくものとされています。
発達支援(本人支援・移行支援)
家族支援
地域支援
提供すべき支援の中の「発達支援」は、「本人支援」と「移行支援」を含みます。
さらに、「本人支援」については、障害のある子どもの発達の側面から、5つの領域への支援を行うものとされており、ここが本人支援の5領域が指し示すところです。提供すべき支援全体の中では、下図のような位置づけとなっています。

それでは、本人支援の5領域についてもう少し詳しく見ていきます。ガイドラインにはこのように記載されています。
「本人支援」は、障害のある子どもの発達の側面から、心身の健康や生活に関する領域「健康・生活」、運動や感覚に関する領域「運動・感覚」、認知と行動に関する領域「認知・行動」、言語・コミュニケーションの獲得に関する領域「言語・コミュニケーション」、人との関わりに関する領域「人間関係・社会性」の5領域にまとめられるが、これらの領域の支援内容は、お互いに関連して成り立っており、重なる部分もある。
つまり、「(本人支援の)5領域」とは、「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」のことです。
本人支援に関しては、これら5領域をカバーする支援が本来の支援の在り方として想定されています。
方向性で示された「総合的な支援」とは、本人支援について5領域を全て含めた支援を総合的に行うことです。
ここまで、「児童発達支援ガイドライン」を基に総合的な支援について見てきましたが、今後は5領域を含めた総合的な支援が放課後等デイサービスでも求められるようになります。ですので、放課後等デイサービスの方も5領域や総合的な支援について理解しておく必要があります。
放課後等デイサービスにおいても、児童発達支援ガイドラインに記載された5領域を含めた支援が必要だと考えられた経緯については、次の章の最後に詳しく解説します。
なぜ、今回の報酬改定で「総合的な支援を基本とする」という方向性が出てきたのでしょうか。ここからはさらに今回の方向性に至った背景についても解説していきます。
まずは、業界の現状と課題について見ていきましょう。
平成 24 年の制度再編以降、児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所数、利用者数は飛躍的に増加し、支援を必要とするこどもやその家族が身近な地域で支援を受けやすくなったと考えられます。
一方で中には、預かり中心、学習支援のみの事業所が存在するなど、障害児通所支援として求められる適切な運営や支援の質の確保が課題とされてきました。
これらの現状や課題を踏まえ、様々な会議体で障害児支援の在り方についての議論が行われてきました。
過去の検討会で議論されてきたことは、大きく3つです。
①本人支援に関しては、5領域をカバーする総合的な支援が本来の支援の在り方であることから、全ての障害児通所支援において総合的な支援を提供することを基本とすべき
②包括的にこどもの発達をみていく観点とともに、こどもの状態に合わせて柔軟に必要な支援を提供することも重要であるため、総合的な支援の提供を行いつつ、その上でこどもの状態に合わせた特定の領域に対する専門的な支援を重点的に行うという支援の在り方が考えられる
③ピアノや絵画等のみを提供する支援については、活動プログラムやアセスメント、個別支援計画において、5領域とのつながりを明確化した支援内容とした上で提供することが必要
参考:障害児通所支援の在り方に関する検討会報告書、障害児通所支援に関する検討会報告書
以上の議論を踏まえ、総合的な支援を基本とするという方向性に至ったと考えられます。また、総合的な支援が適切に実現されるよう、個別支援計画等において5領域とのつながりを明確化することや事業所全体のプログラムの公表を求めること、プログラムを公表しない事業所を減算の対象とするなどの方向性も併せて示された形となりました。
これまで放課後等デイサービスでは、ガイドラインにおいて、以下のような基本的役割3つを定めた上で、4つの基本活動を組み合わせて支援を行うこと(=総合的な支援)が基本とされていました。
①子どもの最善の利益の保障
②共生社会の実現に向けた後方支援
③保護者支援
①自立支援と日常生活の充実のための活動
②創作活動
③地域交流の機会の提供
④余暇の提供
先程見てきたように、放課後等デイサービスにおいても基本活動を組み合わせた総合的な支援が本来の支援の在り方として想定されていたこと、「児童発達支援ガイドライン」において示している本人支援における5領域は放課後等デイサービスにも共通するものであることを踏まえ、5領域を含めた総合的な支援を児童発達支援・放課後等デイサービス共に基本とする形となりました。
次回報酬改定においては放課後等デイサービスのガイドラインの改訂についても検討されているため、この本人支援についての記載が追加・変更されることも予想されます。
では、総合的な支援を確実に行っていくには何をすべきなのでしょうか。
総合的な支援を確実に行うには、アセスメントや個別支援計画の策定から日々の支援において、5領域とのつながりを明確化し実施することが求められてきます。つまり、今回の報酬改定に対応していくには、総合的な支援を提供できる体制を作っていくことが必要不可欠であると言えます。
総合的な支援を提供できる体制を整えるためには、具体的には、支援の起点となるアセスメントを適切に実施することと、個別支援計画や活動プログラムにアセスメントの内容を反映させていくことが重要となります。
中には、
現状のアセスメント方法を見直したい
アセスメントに基づいた個別支援計画・プログラムの策定に不安がある
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監修:伊藤 誠
WPP行政書士事務所 代表行政書士
障がい福祉サービス事業に専門特化し、放課後等デイサービス・児童発達支援・就労継続支援A型・B型、就労移行支援、生活介護、共同生活援助、居宅介護などの指定申請、変更届、実地指導、運営適正化のコンサルティングを提供している。またWEB上でも積極的に情報発信をおこなう。
著書に『障がい福祉事業の開業・手続き・運営のしかた 改訂2版』。
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