【 資金繰り 】今知りたい!放課後等デイサービスで活用できるコロナ特別措置含む資金繰り施策6選!
令和3年度障害福祉サービス等報酬改定より前の内容です
厚労省の通達を経て、各自治体判断でさまざまな対応を迫られている放課後等デイサービス。新型コロナウイルスの影響で、ご家庭の判断で通所利用の見合わせ、体調不良による利用中断など、今後の経営を不安視する声も上がっています。
この記事では、放デイや児発が対象となる「助成金」「融資制度と保証制度」の情報についてお伝えします。
※5月7日に記事を更新しました。
目次
・半年先の安定運営を担保し、先手で必要に応じた資金繰り対策を
コロナの影響で資金繰りが不安ー特別措置のある施策6選
放デイ・児発は、サービスの利用実績が事業収入に直結します。厚労省より出されている「通所支援の縮小実施・休業の検討」は、通常通りの事業収入が得られないことを指すため、通所支援再開の見通しが立たない上では、今後の事業継続が困難になる可能性も高まります。そうなる前に、今の段階から資金繰り施策を検討しておくことが大切です。
放デイ・児発で活用できる資金繰り施策(一例)
これらの資金繰り施策について、概要と活用にあたっての留意点をお伝えします。
※厚労省では通所支援に代わる「オンライン支援の実施」も通達されています。オンライン支援の詳細は、以下もご確認ください。
参考:【コロナ対策】通所できないお子さまへー実践エリアもある!「オンライン支援」の実績算定ノウハウ
放デイ・児発の資金繰り施策―「助成金・給付金」
助成金は、主に厚労省が雇用や人材育成に関する目的で提供している施策で、返済の必要がありません。
給付金は、一定要件を満たす場合に国や自治体から一定額の支給を受けられる制度です。申請すれば基本的に誰でも支給を受けられます。「給付金」という名称ではなく、前述した「助成金」や「~手当」といった、名称が使われることもあります。
今回のコロナウイルスの影響で、感染予防の観点から休まなくてはいけなくなった職員、もしくは小学校等の臨時休業により仕事を休まなくてはいけなくなった職員の雇用等に活用できる2種類の助成金が厚労省から、事業の継続を支え再起の糧として事業全般に広く使える給付金が経産省から、出されています。
❶ 雇用調整助成金(特例措置) ※令和2年5月7日現在
雇用調整助成金は、労働者が感染症を発症し自主的に事業所を閉鎖した、又は、労働者が感染症を発症していないが行政の要請を受けて事業所を閉鎖したことで、事業活動が縮小した場合等に、職員の雇用維持のために、労働基準法26条に定める手当(休業手当や賃金等)の一部を厚労省が助成するものです。
放課後等デイサービスや児童発達支援事業の場合、新型コロナウイルスにより施設の「休業」の機会があった場合、職員への人件費等に充てられる可能性があります。
令和2年4月1日~6月30日までを緊急対応期間とし、全国で特例措置を実施しています。
- 法人形態:基本的に問わない(要問い合わせ)
- 助成率:(中小企業)2/3(※9/10)(大企業)1/2(※3/4)
※解雇をしない等の一定要件を満たした場合の助成率 - 助成金額:1人1日あたり最大8,330円が上限
- 手続き期間:令和2年6月30日まで ※休業計画提出期限日
- 問い合わせ先:最寄りの労働局の助成金相談窓口
自治体から休業要請を受ける等の一定要件を満たしている場合は、助成率が特例的に100%となることをはじめ、助成金取得の要件が緩和されています。助成金取得の手続き書類等も簡素化されており、多くの事業者がご活用いただくことが可能です。
新型コロナウイルスによる要件緩和、特例措置、手続き等の詳細は、以下のリンクや最寄りの労働局の相談窓口に連絡し確認してください。
参考:厚労省,「雇用調整助成金」
参考:厚労省,「都道府県労働局所在地一覧」
❷ 小学校休業等対応助成金 ※令和2年5月7日現在
小学校休業等対応助成金とは、新型コロナウイルス感染症により臨時休業等をした小学校等に通うお子さま、新型コロナウイルス感染症に感染した又は風邪症状など感染したおそれのある小学校等に通うお子さまの世話を保護者として行う必要があった労働者に対し、有給休暇を取得させた事業主に対して、厚労省が新しく設けた助成金です。
放課後等デイサービスや児童発達支援事業の場合、施設職員に小学校等の臨時休業でお子さまの世話が必要な職員が在籍していると、その場合の人件費等に充てられる可能性があります。
- 法人形態:基本的に問わない
- 助成金額:「対象労働者の日額換算賃金額×有給休暇の日数」より算出した合計金額(日額換算賃金額は最大8,330円まで)
- 手続き期間:令和2年9月30日まで
- 問い合わせ先:学校等休業助成金・支援金受付センター(厚労省委託事業者)
この助成金は、令和2年2月27日~6月30日までの間に有給休暇(※労働基準法上の年次有給休暇を除く)を取得させた場合のみが適用となります。有給休暇を取得させず通常出勤としてみなす等の対応をされる場合は、有給休暇の取得とは認められないため、管理者は、職員の勤怠の取扱いに留意が必要です。
具体的な手続きや要件ついて、以下のリンクや、学校等休業助成金・支援金相談コールセンター(0120-60-3999)へ問い合わせてご確認ください。
参考:厚労省,「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」
❸ 持続化給付金 ※令和2年5月7日現在
持続化給付金とは、コロナウイルス感染症拡大により、特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧となる、事業全般に広く使える、給付金を支給する制度です。
- 法人形態:基本的に問わないが、以下の要件を満たす必要あり
ー2019年以前から事業収入がある
ー資本金が10億円未満である
ー常時使用する従業員2,000名以下の法人である
ー前年同月比で事業収入が50%以上減少している月が存在する - 給付額:最大200万円(昨年1年間の売上からの減少分が上限)
- 手続き期間:令和3年1月15日まで
- 問い合わせ先:最寄りの労働局の助成金相談窓口
持続化給付金の申請はWEB申請を基本としています。申請には添付書類が必要となりますので、手続き等の詳細は、以下のリンクを確認してください。
参考:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会,「持続化給付金」
放デイ・児発の資金繰り施策―「融資制度」
融資制度とは、主に銀行や信用金庫等の金融機関が、法人や個人に対し資金を貸し出すことを指します。貸し出しになるため、返済が必要です。
新型コロナウイルス感染症の影響で、業績が悪化する可能性がある場合の融資制度が各所から出されています。放課後等デイサービスや児童発達支援事業の施設を「休業」等し、今後の経営資金の見通しに不安がある場合は、融資制度活用の検討をおすすめします。もちろん融資は返済が必要になるので、無理のない返済計画を立てておくことも大切です。
❹ 新型コロナウイルス感染症特別貸付と特別利子補給制度 ※令和2年5月7日現在
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」とは、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に業況悪化を来している事業者に対し、日本政策金融公庫より融資を受けられる制度です。
この融資制度は、「特別利子補給制度」を併用することで、実質的に無利子・無担で保融資を受けることができます。
放課後等デイサービスや児童発達支援事業は、要件である「国民生活事業」に該当するため利用可能です。新型コロナウイルスにより施設の「休業」や「収支に悪影響」がある場合、その運転資金や設備資金として活用いただくことができます。
- 法人形態:営利法人OK、非営利法人は収入源による(要問い合わせ)
- 資金用途:運転資金、設備資金
- 融資限度額:6,000万円(国民生活事業)
- 融資利率:融資後3年間のみ-0.9%が適用、4年目以降は基準金利
- 担保:無担保
- 返済期間(運転資金):15年以内(据置期間5年以内)
- 返済期間(設備資金):20年以内(据置期間5年以内)
- 手続き期間:現状なし(※5/7時点)
- 問い合わせ先:日本政策金融公庫 事業資金相談ダイヤル
令和2年5月7日現在「特別利子補給制度」の手続き方法等の詳細は検討中となっていますが、新型コロナウイルス感染症特別貸付の融資は受付対応をしています。
法人形態や事業規模によって融資対象となるかが変わる可能性があるため、融資を検討される場合は必ず下記の日本政策金融公庫へ問い合わせご確認ください。
参考:日本政策金融公庫,「新型コロナウイルス感染症特別貸付」
参考:日本政策金融公庫,
「新型コロナウイルス感染症特別貸付と特別利子補給制度の併用による実質的な無利子化融資のご案内」
参考:日本政策金融公庫.「事業資金相談ダイヤル」
❺ 独立行政法人福祉医療機構 福祉貸付事業による融資制度 ※令和2年5月7日現在
独立行政法人福祉医療機構では、福祉や医療所を対象とした事業所の施設整備等の際に、資金を長期・固定・低利から資金を貸付しています。現在、新型コロナウイルス感染症により経営に支障がある事業所を対象に、経営資金の優遇融資を実施しています。
- 法人形態:問わない
- 資金用途:経営・運転資金
- 担保(融資限度額):有担保(なし)無担保(6,000万円)
- 融資利率:融資後5年間3,000万円まで無利子、3,000万円超・6年目以降は0.2%
- 返済期間:15年以内(据置期間5年以内)
- 手続き期間:現状なし(※5/7時点)
- 問い合わせ先:独立行政法人福祉医療機構 福祉審査課 融資相談係
この融資制度も放課後等デイサービス、児童発達支援事業等の障害児通所支援事業での利用が可能です。営利法人、社会福祉法人、社団法人、NPO法人等、法人格によらず活用することができます。
具体的な要件や手続き等は下記リンクからご確認ください。
参考:独立行政法人福祉医療機構,
「福祉貸付における新型コロナウイルス感染症対応のための経営資金のお手続きのごあんない」
参考:独立行政法人福祉医療機構,「福祉貸付の融資に関するお問い合わせ」
「融資」を受けやすくするために―「保証制度」の活用も
民間の金融機関等から融資を受ける際は、信用保証協会が公的な保証人になることがあります。信用保証協会が保証人となることで、融資枠の拡大や利率等の調整等、融資を有利に受けられる可能性が高まります。
今回の新型コロナウイルスの影響により、民間の金融機関等から新しく貸付や融資を受ける場合に活用できる「セーフティーネット保証制度」が発動されました。
❻ セーフティネット保証制度 ※令和2年5月7日現在
セーフティネット保証制度(経営安定関連保証 ※中小企業信用保険法第2条第5項)とは、信用保証協会が提供している、経営の安定に支障をきたしている中小企業者を支援するための制度です。全部で8種類あり、今回の新型コロナウイルス感染症では4号「突発的災害(自然災害等)」と5号「業況の悪化している業種(全国的)」が発動されました。
令和2年5月7日現在、セーフティネット4号・5号ともに放課後等デイサービス等の「障害福祉通所支援事業」は保証制度を活用できるようになりました。
※日本政策金融公庫の「セーフティーネット貸付」とは異なります。
セーフティネット保証4号
- 対象範囲:北海道から沖縄まで日本全国すべての都道府県
- 法人:公益財団法人は対象外、NPO法人は要問い合わせ
- 資金用途:経営・運転資金
- 保証限度額:最大2.8億円(一般保証とは別枠で融資額100%保証)
- 保証利率:各信用保証協会ごとに異なる
- 問い合わせ先:最寄りの各信用保証協会
セーフティネット保証5号
- 業種:対象業種指定あり
- 法人:公益財団法人は対象外、NPO法人は要問い合わせ
- 資金用途:経営・運転資金
- 保証限度額:最大2.8億円(一般保証と別枠で融資額80%保証)
- 保証利率:各信用保証協会ごとに異な
- 問い合わせ先:最寄りの各信用保証協会
セーフティーネット保証4号・5号ともに併用可能ですが、最大2.8億円の補償限度額は同じ枠の扱いになります。また4号・5号ともにいくつかの要件が緩和されています。
具体的な要件や手続き等は、以下のリンクを確認し、「お近くの信用保証協会一覧」を参照の上、いずれかの信用保証協会にお問い合わせください。
- 経産省,「セーフティネット保証制度」
- 経産省,「セーフティネット保証4号の概要」
- 経産省,「セーフティネット保証5号の概要」
- 経産省,「セーフティネット保証5号の対象業種」
- 一般社団法人全国信用保証協会連合,「お近くの信用保証協会一覧」
半年先の安定運営を担保し、先手で必要に応じた資金繰り対策を
緊急事態宣言の延長に伴い、まだまだ通所支援再開の見通しは立てづらい現状です。安定した経営を続けるには、3ヶ月先までの資金の見通しがある状態を作ることが大切と言われるなかで、ご自身の施設の経営状況に応じて、助成金や融資制度等を利用した資金繰り対策の検討が重要です。
融資を受ける場合は、毎月の収支の計算・年間の収支計画を楽観しすぎないプランでシュミレーションし、無理のない返済計画を立てておくことも大切です。資金繰りの手段に不安な点、不明点がある場合は上記を参考にしながら税理士等、専門家への相談してください。
新型コロナウイルスを理由とした事業継続のための助成金等の施策は、厚労省や経産省から最新の情報が続々と通達されています。現在、放課後等デイサービスが対象でないものも、今後対象になる可能性もありますので、日々更新される情報を合わせてご確認ください。
参考:経産省,「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」
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